【アニメ】「君の名は。〔2016〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【声優】/市原悦子
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 瀧は東京に暮らす高校生。飛騨の山奥で暮らす少女 三葉との間で「入れ替わり」という謎の現象が起こる。1200年ぶりに地球に接近する「ティアマト彗星」と2人の運命とは。

君の名は。

優しい物語説明で気軽に見られる良作

・前作『言の葉の庭』から3年ぶりとなる、新海誠の6作目の劇場用アニメーション映画。

・新海誠監督作品としては初めて製作委員会方式を採用。

・RADWIMPSの「前前前世」の曲でも有名となりますが、実際にはオープニングやエンディングでの挿入曲ではなく、中盤で使われる曲です。

・RADWIMPSの曲は4曲演奏されますが、使われる場所はこのあたりはです。

・「夢灯籠(オープニング)」「前前前世(中盤の入れ替わり場面)」「スパークル(終盤のシーン)」「なんでもないや(エンディング)」

・観ている印象では、かなりRADWIMPSのプロモーション映画っぽいんですが、数えてみるとそれほど曲は使われている訳でもなく、多分オープニングの疾走感で強く印象に残るのだなぁというところ。

・本編は、監督映画「転校生」のような印象はすぐさま消え、設定は似た感じですが、実際には青春を描きつつ、SFと恋愛がうまく絡められた作品の印象を受けました。

・序盤では入れ替わりの面白さを小気味よく描いており、特にバイト先の先輩は魅力的な年上女性として、「あるある感」が強いです。包容力がありつつ、自身も背伸びをしたい気持ちとなる年上女性とはどの世代にも理解できるのではと思います。

・入れ替わることで、男女のお互いの興味はコミカルに描かれており、思春期の学生ならではの描写だと思います。

・街中の風景や、山奥の景色など背景の克明さも新海誠映画には忘れてはならない要素。CGとの連携で美麗な映像を後押ししてくれています。

・入れ替わりの秘密が明かされてからもストーリー続き、コミカルさから真剣な話にシフトしていく流れもスムーズで、物語の引き込み方は秀逸です。

・現実感のある学生生活から非日常への描写への移り変わりもスムーズで、「んなアホな」というツッコミも極力回避している流れも悪くはないと思います。

・三葉の故郷を探す3人旅では、またまたお姉さんキャラのツボを押さえる「喫煙」という描写があり、嫌煙が叫ばれるご時世ですが、タバコという小道具で、先輩の失恋という表現が隠されているようです。

・結局先輩は主人公ではなく、一緒に旅行した友人と婚約するという伏線は、気がつきにくいながらも、キャラクター設定が用意周到なところを見せます。

・本当は主人公に好意があったということも新海誠監督が明らかにしています。「やれたかも委員会」に登場できる設定ではあるのですね。(※「やれたとは言えない」ですが。)

・ティアマト彗星の落下の終盤は序盤に見せた光景の違う場所をサラリと描いており、ここの伏線には、綺麗と破壊が相反する見事なシーンだと思います。同じ空の下でも、起こっていることは異なるというメッセージでもあります。

・ラストはハッピーエンドになるわけですが、まとめ方も見事。

・解釈は多少見ている側に委ねられますが、想像はつきます。優しい物語説明で気軽に見られる良作です。

・新海誠監督は、「ほしのこえ」というアニメを一人で作り上げた人でも知られており、一貫したテーマも作風にはあります。昔では考えられなかった個人での映像作品制作をメジャー映画まで登りつめた稀有な監督ではあります。

・今後の作品に大いに期待です。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です