【日本映画】「正欲(2023)」を観ての感想・レビュー

【監督】岸善幸
【出演】/磯村勇斗//東野絢香/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 寺井啓喜は、横浜に住む検事。家庭では不登校の息子のために家庭内不和がある。広島に住む桐生夏月は、ショッピングモールで契約社員として働く女性。大学のダンスサークルに所属する諸橋大也。学園祭でフェスを企画している神戸八重子。それぞれ人がとある事件で交錯していく。

静かに深いメッセージを残すところはあります

岸善幸監督は、テレビ制作会社 テレビマンユニオンで是枝裕和監督と同期の演出家で、主に映画監督というよりも、構成や演出、プロデュースを行っています。

稲垣吾郎は、元smapのメンバーであり、現在は「新しい地図」として活躍しています。映画やドラマに数多く出演しており、役者としての評価はされています。

新垣結衣は、雑誌「ニコラ」のモデルのオーディションでグランプリを獲得し、モデルとして活躍後、2006年「ポッキー」シリーズのCMで人気となり、2005年『Sh15uya』では、ドラマ初出演をしています。2007年『ワルボロ』で映画初出演をし、『恋するマドリ』では初主演も務め、同時に主題歌を歌い歌手デビューもしています。その後、徐々に人気を集め、2011年『全開ガール』では連続ドラマ初主演をしています。映画出演もしていますが、どちらかといえば、テレビドラマの代表作が多く、『ドラゴン桜』『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』『パパとムスメの7日間』『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ『リーガル・ハイ』『空飛ぶ広報室』『逃げるは恥だが役に立つ』と多くの作品があります。2021年にと結婚をしています。

物語は、検事と契約社員と学生の3者を中心としながらも、別々の場所での物語として、ある事件をきっかけに関係性がうまれ、正欲について語られていくストーリーです。

序盤から、佐々木佳道についての話から始まり、すでに、心身を喪失してそうな感じで佐々木の心境が描かれます。ニュースや出来事を見ている人に対して、明日生きていくためのものだとの説明がされ、生きていくことに対して何かしらの考えがあるようなところが描かれます・

そこから、桐生夏生の話となり、寿司屋で食事をしているシーンが描かれ、これもまた世の中に対してなにか喪失している感じで描かれます。

自宅のベッドが水に浸っていくイメージ的な映像からタイトルとなります。このイメージは当然イメージではありますが、意味がしっかりあります。

さらに、寺井啓喜の話となり、検事として仕事をしていながら、不登校の息子に対して悩んでいるところもあります。

さらに、神戸八重子の話となり、大学生として生活している女性が描かれ、周囲の雰囲気に馴染めないような感じでの生活が描かれます。

ダンスの話から多様性の話題となってきますが、本作の内容に関していえば、多様性に悩む人達の物語となっていきます。

佐々木佳道、桐生夏生、寺井啓喜、神戸八重子、諸橋大也らが中心の人物となり、息苦しさや多様性ということをテーマにそれぞれの人が感じていることについてが本作の主題となります。

不登校の息子が動画配信により、学校にいかずとも何かを見出そうとしますが、これも価値観の多様性なのかもしれません。観る人から見れば、非常に歪んだ方法論な気もします。

楽しいことをして生き生きとする息子を応援したい親の気持ちもわからないことはないですが、表には見せない寺井啓喜の感情のをちょっと深読み数ところでもあります。

佐々木佳道、桐生夏生、寺井啓喜の3人の環境が大筋の流れとなり、彼らの過去と現在を含め、心に隠し持っている気持ちが徐々に表されてきます。

本作の暗喩として、水に対する欲望があり、その意味も徐々に分かるようになってきます。

「泰希、逃げ癖のついた人間は、生きづらいだけだ」

これはとても正論にも思います。配信動画の内容についても、わからないことはないのですが、あくまで個人的な視点で言えば、社会性と離れてしまったところを感じざるを得ない気もします。

自宅でも居場所を感じづらい桐生夏生は、佐々木佳道とともに、学生の頃の思い出をもとに、居場所を見つけ始めます。2人が世の中で生きづらさを感じているところなんとなくわかってきます。

「普通に生きてけないってなに?」

多様性という言葉で、履き違えてしまうのは、多様性と身勝手が似ているようでも、全く異なるようなところでもあります。

「あなたとなら、自然と息ができる」

「そんなやり方に俺を巻き込むなよ」

神戸八重子もまた、周囲に馴染めないながら、自分の感性と同調しそうな相手に共感を求めますが、相手の都合をから拒絶もされてしまいます。

矢田部陽平の話が終盤新たに描かれますが、この話は、本作を観てもらうほうが良いです。

終盤の会話での新垣結衣の目が死んでいるところは本作では、始終死んでいるわけですが、このシーンでのなにか喪失している感のところは、本作の特殊なところです。

水に関しての話題も出ますが、本作での主題は「水」は取っ掛かりではあり、本作での本質と徐々につながっていくのがわかります。

「生きるために必死だった道のりを、あり得ないって簡単に片付けられたこと、ありますか?」

理解されないことを理解してもらうことは難しいのかもしれませんが、本作は、多様性や感性というところにどう考えるのかということを描いています。

最終的に唐突に終わるような感じもしますが、観る人によって感じるところは変わるところもあり、朝井リョウ原作の作品だけあって、静かに深いメッセージを残すところはあります。

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