【日本映画】「大和(カリフォルニア)(2018)」★★★☆☆

作品紹介

【監督】宮崎大祐
【出演】/内村遥/NORIKIYO/GEZAN/宍戸幸司/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 長嶋サクラは、ラッパーとして神奈川県大和市で過ごしている女性。厚木基地のある土地でラップと喧嘩の生活をしていたが、カルフォルニアからレイと言う親戚が帰国する。

監督:宮崎大祐, Writer:宮崎大祐, 出演:韓英恵, 出演:遠藤新菜, 出演:片岡礼子, 出演:内村遥, 出演:塩野谷正幸
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日本とアメリカというどちらとも取れるようで、どちらでもないこの空気感

宮崎大祐監督は、様々な監督の助監督として活動後、2011年『夜が終わる場所』で映画監督デビューをしています。その後、2016年『大和(カリフォルニア)』で海外メディアより絶賛されています。2020年『VIDEOPHOBIA』で大阪市生野区のコリアンタウンを舞台とした作品でも高い評価を得ています。

韓英恵は、2001年『ピストルオペラ』で10歳にして映画デビューをし、その際に韓英恵の芸名を監督より名付けられています。二重国籍で育ちましたが、22歳に韓国籍を選択し、以降、独特な存在感のある女優として活躍しています。

物語は、厚木基地の住所がカルフォルニア州に属しているという都市伝説のある大和市が舞台。そこで暮らす主人公の家族にカルフォルニアから帰国した親戚が同居したことでそれぞれの生活を見直していくストーリーです。

序盤から、厚木基地のある大和市の風景が描かれ、そこでラッパーとして暮らしているサクラがなんとなく暮らしています。

自宅の雰囲気や街の印象から、あまり良い生活をしていない感じも受けますが、ある程度仕事もあり、家もあるので、貧困というわけではありません。

本作の興味深いところは会話の最中でも平気に騒音がするところで、厚木基地は実際に軍用機の発着陸があり、定期的に騒音で地域住民的に悩まされているところがあります。

大和という街は治安が良くないとも言われていますが、実際に生活自体もままならないような、ちょっと貧困な家庭が多い地域でもあります。

カルフォルニアより母の恋人のアビーの娘が帰国してくることで物語が変わり始めます。

日本の大和市とカルフォルニアの違いでレイも日本の生活に徐々に馴染み始めますが、

サクラとレイは、夜中、遊び回った挙げ句にちょっとした隠れ家でもあるバスで口論となります。

「いつまでもお前らが正しいと思ってるなよ」

「一番最初に私達をコピーしたのはだれなの?」

お互いにちょっとグサッとくるところですが、うだつの上がらない暮らしを考えると、何かをしているようで、何も挑戦していないところがモヤモヤします。

「いつまでも被害者ぶってんじゃねえ」

終盤、サクラが当てどなく街を歩きますが、そこで見るバンドの演奏等の演出にはなかなか意表をついた演奏でもあり、一番気になったのは、音響がやたらと良い感じなところです。

「コピー元のない本物になれるんだよ、うちら」

「現実見ながら、夢見るんだ」

神奈川県の独特な街の大和市とカルフォルニアから来た子の掛け合わせで、物語が徐々に着地していくわけで、映画「8Mile」と似ているのかなぁと思いきや、やはり着地点は全然異なり、日本とアメリカというどちらとも取れるようで、どちらでもないこの空気感が、本作の見どころかもしれません。

とにかく、米軍機の騒音をまるでBGMのように入れてくるところに、この地域の特色を示しているようにも思えます。

予告編

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