【日本映画】「アンダーカレント(2023)」★★★★☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】
【原作】豊田徹也
【出演】/永山/康すおん/

【個人的評価】

【あらすじ】主人公 かなえは、稼業の銭湯を継ぎ、夫とともに暮らしていたが、突如、夫が失踪してしまう。数日後、堀と名乗る男が現れ、住み込みで働くことになる。

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今泉力哉監督は、映画専門学校 ENBUゼミナールの職員として、のワークショップアシスタントなどを経験。その傍ら、自主制作映画を作っていましたが、2010年の「たまの映画」で長編デビューをし、『パンとバスと2度目のハツコイ』などさまざまな映画を手掛けています。

真木よう子は、1993年『REX 恐竜物語』を観て女優を目指し、1998年「無名塾」に入塾します。その後、主宰仲代達矢と行き違いがあり、退所しています。2001年「DRUG」で映画初出演をし、2995年「サマータイムマシン・ブルース」で好演しています。2006年「ゆれる」で高い評価を受けています。2014年『さよなら渓谷』『そして父になる』でも好演しており、数々の性を受賞しています。

井浦新は、大学時代にスカウトされモデル「ARATA」として芸能界入りし、1998年には、独自のブランド「REVOLVER」を立ち上げています。1999年「ワンダフルライフ」で映画初主演をし、その後2002年『ピンポン』で人気を得ています。2005年には「メガネ男子」で「好きなメガネ男子」1位となっています。

物語は、銭湯を営む主人公は、ある日、一緒に仕事をしていた夫が失踪してしまう。その時期に合わせ、とある男が住み込みで働き出し、夫の失踪の原因を探りながらも、それぞれの心のアンダーカレントに迫っていくストーリーです。

最初に、アンダーカレント(under current)の意味が説明され、銭湯で働くかなえが描かれます。アンダーカレント(under current)とは、「底流、下層流、(表面には現われない) 暗流」という意味があり、のちのち意味がわかってくるのかと思います。

序盤から、閉めていたいた銭湯を再開する姿が描かれますが、閉めていた理由が徐々にわかってきます。

主人公 かなえ視点で描かれている内容であり、住み込みで働こうとする堀や、夫が失踪してしまっていることなど、徐々にかなえの状況がわかってきます。

夫の失踪の理由が不明なこともあり、かなえの知人から探偵を紹介され、素性調査を行うことになります。その時の探偵はリリー・フランキーの演じる探偵山崎となりますが、見た目からもう胡散臭い感じもします。

探偵の調査から、夫の事情も徐々にわかってきますが、かなえの視点で言えば、言葉も出ないというところはあります。その状況でもカラオケを歌う山崎には、無神経なのか、暗に意味を含ませているのかはわからないです。

銭湯の仕事は、堀が手伝いをしてくれるので、なんとなく続いていきますが、堀自体もなんの事情があるのかがわからないところもあり、物語の流れがふわっとしています。

「自分の弱い部分を見せないようにしているだけかもしれません」

中盤以降、かなえ中心だった物語が、堀の行動が中心に変わり始めます。堀自体の存在にはまだどういう人物なのかわからないのですが、かなえと堀が歩いている川沿いの道にはなんとなく暗喩が込められています。

淀んだ川で水の流れもないところには本作の題名に通じるところになります。

「堀さんは、黙って出ていったりしないでね。」

夫の失踪と、堀のキャラクターには特に関係性があるというわけではない印象ですが、この2人の存在の意味合いについては、本作のキーとなるところです。とはいえ、明確に説明されていないところもあるので、それは、観る人の印象により変わるところです。

「どうして、黙って消えたの?」

アンダーカレントという意味を考えると、根底で思っていることがあり、そのことでそれぞれのキャラクターが行動に至っているようにも思えます。

主人公のかなえにも、心の奥底にある気持ちがあるのですが、本心自体が本作の題名を表しているところでもあり、詳しく描かないところで、観る人によって感じるところ変わるのかと思います。

「ホントのことなんて、誰も知りたくないんだよ」

かなえと夫の会話は意外と中身がないような感じもあり、空回りをしているようなそんな気もします。

ここにもアンダーカレントがあるからこそ、正直なところや本当のことがわからないのかなぁと思います。

「悲しみなんて、一人で抱えているもんじゃないよ」

堀さんの話も解決の糸口はないようにも思えますが、深いところで人はどう考えているのかが、本作のテーマなのかもしれません。

終盤の食卓のシーンでも、すべてを言い表しているようにみえて、それでもアンダーカレントなところを感じてしまいます。

どじょうを食べた話がありますが、どじょうは川底に棲む魚であり、そこにも暗喩が込められているのかと思います。

淡々とした物語ではありますが、登場人物も限られていることで、難解さはあれど、多くの人はだいたい同じようなことを感じる作品ではないかと思います。

真木よう子の心あらずなキャラクターには、ちょっと恐怖を感じるところもありますが、実は、かなえのアンダーカレントには何もなくなってしまったと考えることもできます。

予告編

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