【日本映画】「おらおらでひとりいぐも〔2020〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】若竹千佐子
【出演】/青木崇高/宮藤官九郎/田畑智子/黒田大輔//三浦透子/六角精児//鷲尾真知子/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 桃子は、夫に先立たれ、一人で生活をしている75歳の女性。彼女は毎日本を読み、地球の46億年のノートを作り始める。心の声の「寂しさ」とともにその小さな世界を描く。

46億年のノートというところもわからなくはないのですが、一人の女性の小宇宙を通じて描かれる一つの世界の作品となる良作

沖田修一監督は、日本大学藝術学部映画学科撮影・録音コースで映画を学び、2002年『鍋と友達』で短編映画が評価されます。その後、2006年『このすばらしきせかい』で長編映画を手掛け、2009年『南極料理人』で商業映画監督としてデビューをしています。「キツツキと雨」「横道世之介」などをはじめすべての作品で「監督・脚本」を手掛ける監督です。

田中裕子は、1979年『マー姉ちゃん』で俳優デビューをし、1981年『ええじゃないか』『北斎漫画』で高い評価を得ています。その後、1983年「おしん」で主演を演じています。ふわっとした外見ながら、しっかりと筋の通った役柄が多く、メリハリの効いた演技のできる女優です。

蒼井優は、監督作品「リリィシュシュのすべて」でデビュー後、映画作品を主として活躍している女優です。透明感のある雰囲気とはウラハラにしっかりとして主張のある女優です。

主題歌は、ハナレグミ『賑やかな日々』です。

物語は、夫に先立たれた主人公が、寂しさという心の声とともに、過去の出来事を振り返りながら、生き方を描いた作品となります。

題名の「おらおらでひとりいぐも」は、訛りがあり「私は私らしく一人で生きていく」という意味になります。

序盤から、主人公 桃子が自宅で生活をしていながらも、そこに「寂しさ」となる3人とともに生活しているような描かれ方がされています。つまり、主人公 桃子には一人暮らしをしていながらも、心の声と生活をしているという前提が描かれるわけです、

主人公 桃子の目線は、カメラ目線が多いところはありますが、それは、主人公への感情移入を拒むようなところも感じます。

現在と過去が交錯しながら物語が描かれており、その交互に描かれている点は、田中裕子と蒼井優の二人一役であり、複雑なところはないと思いますが、いずれにしても、感情移入させるよりも、一人の人物の老後の生活を描いているところではあります。

地方出身者なので、訛りがあり、その訛りのおかげで理解を得られる知人が出てきたりと、ここは普通に共感しやすいところかと思います。

昔を振り返り、思い出とともに、そして寂しさとともに生きていくというところでもありますが、自分と向き合っていくことが、自身の老後とつながっているように思います。

時の流れは誰しもにあり、その人物それぞれに思い出や経験があると思いますが、これは、その中の一例でもあると思います。

共感できる人とできない人がいるのは当然でもあり、視点は面白くはありますが、137分という時間はちょっと長がったような気もします。

46億年のノートというところもわからなくはないのですが、一人の女性の小宇宙を通じて描かれる一つの世界の作品となる良作かと思います。

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