【日本映画】「夜明けまでバス停で〔2022〕」★★★☆☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】
【出演】板谷由夏/大西礼芳/三浦貴大//ルビーモレノ/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 北林三知子は、昼間は自作アクセサリを販売し、夜は焼き鳥屋で住み込みバイトをする女性。ある日、新型コロナウィルスの問題で、仕事と家を失ってしまう。

パンデミックによる孤立という社会問題を取り扱いながら、他人事ではないアプローチを感じさせてしまう演出力が良い作品

高橋伴明監督は、1972年『婦女暴行脱走犯』で映画監督デビューをしますが、しばらくブランクがあります。1982年『TATTOO<刺青>あり』で商業映画監督デビューをし、各賞を受賞しています。その後、『獅子王たちの夏』『愛の新世界』など話題作を手掛けて折、映画やテレビで活躍している監督です。

板谷由夏は、1994年よりモデルとして活動し、1999年『avec mon mari』で映画デビューをしています。映画やテレビドラマ、キャスターなど、多彩なジャンルをこなす女優です。

物語は、コロナ禍になってしまったことで、仕事と家を失ってしまった主人公が、路上生活をしていくうちに、同じ境遇の人らと出会い、生活をしていくストーリーです。

序盤から、バス停で寝ている人に近寄り何かをする人が描かれ、そこでタイトルとなります。

意味深な始まり方から、居酒屋のシーンとなり、そこで主人公らしき人が働いているところが描かれます。

居酒屋で仕事をしながらも、外国人労働者やその他の影響で徐々に居酒屋の経営も怪しくなったところで、新型コロナウィルスの影響で緊急事態宣言が発出されます。

緊急事態宣言と居酒屋経営の問題が重なり、仕事を解雇され、他の仕事に就こうにもなかなか難しくなってしまいます。

特に、住み込みの仕事が見つかり訪問するも、クラスターにより施設が閉鎖される点は、コロナ禍の過酷さがわかります。また、仕事の探し方もインターネット経由での対面面接となるので、スマートフォンを利用しなければならなくなり、ライフラインとしてスマートフォンが必要となるのもよくわかります。

序盤すぎに、仕事も住むところもなくなった三知子は、スーツケースを転がしてバス停で夜を過ごす生活を余儀なくされてしまいます。この状況の描き方はなかなか痛烈で、ほぼセリフなしに淡々と過酷な緊急事態宣言下の状況が描かれます。

飲食店の残飯を漁る行動もしなければならないことになり、コロナ禍で生活がうまく行かなくなった人の困窮さという社会問題も本作にはメッセージとして込められています。

コロナ禍で貧困層が困った事になった一つとして生理用品の調達というところもあり、シレッと万引きをしているシーンなども描かれています。

社会問題としてはリアルではありますが、このメッセージ性にはだんだんと共感しづらくなってきます。

「わたし、真面目に生きてきたはずです」

言っていることはわかりますが、共感はできないです。確かに社会的状況で仕事や家を失ったのはわかりますが、トラブルが発生したときの対策を考えていない点は、迂闊としか言いようがないです。

パンデミックによる孤立という社会問題を取り扱いながら、他人事ではないアプローチを感じさせてしまう演出力が良い作品です。

予告編

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