【洋画】「キル・ビル〔2003〕」★★★★★【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 ザ・ブライドは、所属していた組織のボス ビルに襲撃され、瀕死の重傷を負います。4年間の昏睡状態から目覚めた彼女は、ビルとその仲間の4人の殺し屋への復讐を始める。

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映画愛から生まれた映画を好きになってもらいたい気持ちから生まれた傑作

クエンティン・タランティーノ監督は、ビデオ屋でアルバイトをしながらも、映画愛に溢れ。脚本を書き上げた、トゥルーロマンスで脚光を浴び、初監督作のレザボアドッグス、2作目のパルプフィクションで時代にとどめを刺すほどの賞賛を受けて時代の寵児となった監督。

本作は、2部構成となっており、合計4時間ほどの長編となっています。物語は続いているので、2作連続して観るのが正しい鑑賞方法です。

布袋寅泰が、メインテーマ「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」を提供しており、キルビルといえばこの曲という強烈なイメージがあります。

vol.1は、オーレン石井とヴァニータ・グリーンへの復讐劇となっており、序盤のエル・ドライヴァーは、ベッドで昏睡状態の動けない状態からの戦いであり、序盤から緊迫感マックスです。エル・ドライヴァー自体はこの時点では決着がつくことはなく、後編に対決が持ち越されますが、このチョット出しのひねりは効いています。

タランティーノ映画で難解になりがちなのが、時系列の差し替えで、今回の作品もかなり時系列が前後します。

まず、ヴァニータ・グリーンとの闘いは、子供には悟られたくないというところも加味した闘いで、チョットコメディ感があります。

その後話はぶっ飛び、沖縄での、ハンゾウソードの制作。

終盤は、日本料亭での殺陣となり、日本刀アクションと死亡遊戯風の衣装で、テンションの高い仕上がりとなっています。

また、オーレン石井の手下である、ゴーゴー夕張演じる栗山千明は、世界配給の映画ながら、強烈なインパクトを残しています。

それが、女子高生の制服姿でありながら、まったくもって不利な武器のような分銅ハンマーを使っているところがインパクト大。

一見不利にも見える武器が妙に強く見えるところもあり、ギャップのある演出には、マニアックなアクションとして秀逸です。

オーレン石井との対決も、まさしく日本の任侠映画が好みというタランティーノ節で、楽しめる映画です。

ここから後編になるのですが、その前にネタの宝庫の映画として、小ネタを楽しむという鑑賞方法もあります。

アニメーションパートが挿入されていますが、このアニメーションは、日本のProduction I.Gが制作をしています。

日本をはじめ、アジア系映画のオマージュが多く「修羅雪姫」「男たちの挽歌」「死亡遊戯」「仁義なき闘い」「柳生一族の陰謀」など監督の趣味で出来上がっていると言っても過言ではありません。

続いて後編の物語は、アメリカに舞台が移ります。

本編では前作では明かされていなかった、ザ・ブライドの過去が明かされ、なぜ壮絶な仕打ちを受けたのかが描かれます。

ビルの組織する「毒ヘビ暗殺団」の名称も、監督の好みから来ているようで、B級映画感がありながらも、しっくりと来る印象です。

その凄惨な仕打ちで、本名「ベアトリクス・キドー」と明かされます。

ビルの仲間の「エル・ドライヴァー」「バド」との闘いとなりますが、意外にも苦戦する展開となり、このあたりにフラストレーションからくる復讐劇の面白味をさらに広げるところは巧いとしか言いようがありません。

その時の最終的な決着を、棺桶に生きたまま入れて埋めてしまうということでもあり、非常に恐怖感があります。

閉所恐怖症や暗所恐怖症にはこれ以上にない仕打ちですが、ここでも時間軸が移動します。

中国での修行が描かれ、戦うための奥義を体得しているということで、脱出ができます。

その後、エルとバドへの復習が行われますが、バドの決着方法のあっけなさは、まさしくタランティーノ節、そしてエルとの対決も、トレーラーハウスの中の狭さということをとても秀逸に描いています。

刀が抜けないという狭さでの闘いで、非常に良くできたアクションです。

終盤は、ビルとの対決となりますが、この対決は、今までのアクションづくしの展開とは異なり、非常にゆったりとした中での闘いが起こります。

この闘いも、座って会話をするところから始まる闘いであり、アクションのテンションが高まった物語運びから一転、意外な物語展開となります。

最終的に復讐を達成しますが、この映画の主題はなんだったのでしょうか?

合計4時間を超える展開の中で見えてくることは、「世界の映画お旅する映画」という一つの見え方ができます。

映画マニアのタランティーノ監督として、描きたかったことは、自らの映画人生を総括する「好きだった映画を一様にして楽しめる映画」、これを目指したかったと考えると、とても腑に落ちます。

今まで観てきた映画を総括することで、映画マニアとしての区切りをつけたかったのだろうと思います。

観ている側からすれば、世界の映画をこの一本で満喫できる、そういった映画なのだと思います。

小ネタも多い映画ではありますが、小ネタはあくまで小ネタであり、本筋ではありません。

映画愛から生まれた映画を好きになってもらいたい気持ちから生まれた傑作であるのだと思います。

時代にとどめを刺した映画界の寵児が提示した回答が、キル・ビルの全編に込められたと考えれば、全方位に肯定できる名作だと思うのです。

予告編

キル・ビル Vol.1

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