【アニメ】「ペンギン・ハイウェイ〔2018〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【声優】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公は小学四年生の アオヤマ君。アオヤマ君の住む街でペンギンの群れが突如現れると言う現象が起こり始めた。ペンギンの正体と行動を調べることにしたアオヤマ君はその調査を「ペンギンハイウェイ」と名付ける。調査にあたり、顔なじみの歯科医院の助手のお姉さんがペンギンと関連があるのでは?と言う点にたどり着く。

現実と夢の境目で、描かれる少年のジュブナイルという映画では、良作

石田祐康監督は、初の長編劇場アニメとなり、過去には「陽なたのアオシグレ」等を制作している。

原作の森見登美彦は、「夜は短し歩けよ乙女」「有頂天家族」などを発表し、日本SF大賞を受賞している作家。

主人公 アオヤマ君は、小学4年生ながらも調べることが日課にのようにさまざまなことを調査しており、このペンギンハイウェイも、ペンギンが移動する時にできる道のことを指しています。

調査ノートはたくさんあり、文献としての辞典も小学生ながらの物がたくさんあります。

当然、異性のことについての本も本棚に並んでおり、お姉さんのおっぱいについての興味も深々です。

いやらしい意味合いと受け取りにくいのは、小学4年生と言う設定があるからで、母性と女性としての視点での興味があるように描かれています。

「君にこの謎が解けるかな?」と言うお姉さんの謎かけで、ペンギン、海、お姉さんと言った小学四年生ではまだまだ知らない世界について謎かけをします。

それは、将来科学者になると言うアオヤマ君の試練ではなく、少年が大人になる時に遭遇する、「現実と夢の狭間」を丁寧に描いているのだと思われます。

お姉さんが始終「少年」と呼び、そのほかのキャラクターも「おとうさん」「おかあさん」等、固有名詞がありません。

これは物語の構成は現実と夢の狭間であることを示唆するための「固有名詞を使わない」手法なのかもしれません。

学校で起こる友達との関わりがありつつも、草原の秘密の遊び場についても、まさしくジュブナイル、いつまでも続いていくような長い夏休みを表現しているのかと思

います。

ペンギンの謎を解く物語に見えがちですが、本来は、子供の頃に解けない悩みがあると、それに対して好奇心を持つ、そんな誰しもが感じてた世界を記号化して描いた作品なのかもしれません。

お姉さんのおっぱいがやたらと強調されていて、一部気持ち悪いと言う意見も聞こえますが、女性や大人に対する憧れを描いているのであり、決してへんな目で見ている訳ではないのかと思います。

これは、アオヤマ君の行動や考えをきちんとなぞらえていれば理解できるようにできています。

世界の謎を解き明かして偉くなる、と言う夢を持った少年の興味の対象の多彩さを見れば、自然と理解できるのかと思いますが、直接的な描き方でもないので、読解力は必要かと思います。

結果的に謎の解明はうやむやな感じもしますが、子供の持つ漠然とした疑問は、意外と些細なことでもあり、純粋に少年の好奇心から生まれた、夢と現実の間の話になるのかと思います。

現実と夢の境目で、描かれる少年のジュブナイルという映画では、良作です。


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