【日本映画】「Fukushima 50〔2020〕」を観ての感想・レビュー

【監督】若松節朗
【出演】/吉岡秀隆/緒形直人/火野正平//萩原聖人/堀部圭亮//和田正人/石井正則/三浦誠己/堀井新太/金井勇太/増田修一朗/須田邦裕/皆川猿時//ダニエル・カール/小野了/金山一彦/天野義久//伊藤正之/阿南健治/中村ゆり/田口トモロヲ/篠井英介//泉谷しげる//段田安則/吉岡里帆/斎藤工//佐野史郎/安田成美/
【個人的評価】★★★★☆

【あらすじ】2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こる。太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波により福島第一原発で電源が消失し、そこで起こる復旧作業を描く。

根深い問題を多く抱えた事柄ではありますが、一つの物語として描いたことに意味はあったのかと思います

若松節朗監督は、テレビドラマの演出家として、1993年「振り返れば奴がいる」1997年「それが答えだ!」2000年「やまとなでしこ」などの作品を手掛け、1994年「COMPLEX BLUE」で映画監督デビューをしています。

佐藤浩市は、父親が三國連太郎でもあり、子供の頃から撮影所へ行き、役者という世界に触れていたことで、在学中の1980年に「続・続事件」に出演、翌年に「青春の門」で映画デビューして評価されています。その後、映画の脇役をこなしながら着々と評価され、安定した演技で定評があります。

父親が三国連太郎ということですが、幼少期に父が家出ををしたことで、父子の確執がありましたが、幾度かの共演を経て、良好な関係となりましたが、2013年に他界しており、佐藤浩市は、父親のことを「努力の人」と評しています。

渡辺謙は、演劇に興味を持ち、演劇集団「円」の劇団員に所属をし、1984年『瀬戸内少年野球団』で映画デビューをしています。その後、『タンポポ』『海と毒薬』にも出演をし、1987年NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』で主演を演じています。1989年に急性骨髄性白血病を発症しますが、見事に病を克服し、2003年『ラスト サムライ』ではハリウッド映画にも出演しています。日本のみならず、海外の映画にも多く出演をする幅広く活躍する俳優です。

新作の日本映画の中では初めてドルビービジョン、ドルビーアトモスを用いた制作作業を日本国内で完結した。

劇中に登場する電力会社の名前は東都電力に変えられており、東京電力は製作において一切無関係であり協力関係はありません。

本作には在日米軍が撮影に協力しているが、これは日本の映画史上初の試みとなっています。

物語は、2011年に発生した東日本大震災により電源を消失してしまった福島第一原発で、メルトダウンを防ぐために復旧作業をする作業員を描いたストーリーです。

序盤は、東日本大震災の発生が描かれ、その甚大な被害と災厄が描かれます。

CGを使った映像となっており、実録の映像は使われていません。

2011年の災害当時は、各地の映像が報道機関で使用されましたが、未曾有の災害に映像を観るだけで気分を害してしまうエア被災まで起こるようになっていました。

そこために、本作では過去の災厄を描いていますが、当時の実際の映像は使わなかったのだと思われます。

そのために、実話を元に制作されていながらも、ドキュメンタリーではなく、フィクションとして制作しているスタンスがあります。

まず、非常電源が動かなくなるというところが起こり、そのために、日本政府の指示と現場の判断の乖離が起こり始め、現場で必死に対策をしようとしている苦労がよくわかります。

題名の「Fukushima 50」とはその発電所で働く作業員を指しており、その人たちの努力があって最悪のシナリオから脱したことを描いています。

原作は、門田隆将著のノンフィクション書籍『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』となっており、映画化するにあたり実名を省いた設定が使われています。

若干偏向的な表現は含まれますが、映画でもあり、絶望だけを描くわけにはいかないので、しっかりと希望が残るような描き方がされています。

現場の迅速な判断と危険を冒してまでの行動は、放射能の恐ろしさを前にして努力をしたことを美談として描いています。

真実はすべて現場にいた人たちのみが知りうることですが、憶測や妄想で判断するよりかは、一つの視点として明確に映像化されたことには、多くの人に観てもらい一つの判断とした方が良いのかもしれません。

物語の展開は、テンポも良くダレ場もなくまとまっています。

実際には発生した事故は人災でもあり、想定していたことをはるかに超える災害だったことと、その災害に対しての保全策が有識者の元に動いていなかったことには失望するところでもあります。

ですので、本作の結末についてはモヤモヤするところも多く、途中からテーマが変わってきた感じもします。

引き継ぐものがいなくなれば、困る。という点もあり、若者には無茶なベントや作業員は避けたところはありますが、実際には創作でもあるのでよくわかりません。

未だに解決されていない事故ではありますが、最も最悪なシナリオにはならなかったところには、感謝するしかないです。

個人的にはヘリコプターで水をかけたり、海水を冷却水に使うことで、不純物が問題となる可能性あるなどの描写もあり、結局アンダーコントロールできていなかった点は、この施設に関わった人々の浅はかな点があるとは思います。

根深い問題を多く抱えた事柄ではありますが、一つの物語として描いたことに意味はあったのかと思います。

Fukushima 50

Fukushima 50

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