【日本映画】「百花 〔2022〕」★★★★☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】川村元気
【出演】/長塚圭史/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 葛西泉は、レコード会社に勤務する会社員。母はピアノ教室を営んでいるが、過去のとある事件をきっかけに親子感にわだかまりがあった。ある日、母 百合子の言動に不可解なことが起こり、認知症と診断される。

百花

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もう、このグッと来る物語の流れは観てもらうのが良いです

川村元気監督は、2005年『電車男』を企画・プロデュースをしています。その後、『デトロイト・メタル・シティ』『告白』『悪人』と話題作を企画・プロデュースし、2012年『世界から猫が消えたなら』で作家デビューもしています。『君の名は。』『怒り』『何者』なども企画しており、企画プロデュースを幅広く手掛けています。2018年「どちらを選んだのかはわからないが、どちらかを選んだことははっきりしている」で初監督をしており、2022年「百花」では、監督・脚本・原作をしています。

菅田将暉は、モデルのオーディションで選ばれた後、2009年「仮面ライダーW」で、初出演初主演をしています。その後は多くの話題作に出演しています。

物語は、主人公の母親が認知症と診断され、日々母の記憶が失われていく中、主人公は、徐々に昔の母親との記憶を思い出していく。

序盤から、部屋でミアのを引いている母親の姿が描かれます。ちょっと特殊な演出でもありますが、その後、泉が家に帰ってきたときになんとなく、行動が不思議なことの辻褄が見えてきます。

母の百合子の視点で認知症が描かれている部分もあり、認知症の現象をちょっと理解できます。

母と息子という点では、息子の泉に視点が置かれ、意思疎通の通わない部分には、すでにとても心に刺さってくるところがあります。

認知症のために、施設に母親を預けて、バスに乗り込もうとするときの母の引き止めからのワンカットで、バスを見送る母にグッときます。

中盤から、母の若い頃の話となり、泉が生まれる前の話となります。若い頃の話は神戸近辺が舞台となっており、阪神電車が出てきたりします。阪神・淡路大震災に遭遇してしまうのですが、その時の自宅から外に出て荒れ果てた街を歩くワンカットで描いているようなシーンは結構すごいです。

「でも、もうすぐ俺のこともわからなくなるよ。」

泉は適度に母親のもとに訪れますが、母の認知症とその状況を常に見ているとなんとも言い表わせない気持ちがまじります。

「こんなにきれいなのに、いつか忘れちゃうのかしら」

この母親の言葉には、認知症ということも含めて、泉にはとても刺さるのかと思います。

昔見た花火との照らし合わせにより、泉が見てきたものは、どういうものだったのかというところで、今まで誤解していたかもしれない時間を超えたザッピングが秀逸です。

「こっちは忘れられねんだよ」

もう、このグッと来る物語の流れは観てもらうのが良いです。

半分の花火というキーワードがありますが、この半分の花火をみるシーンには、過去との繋がりが残っている美しい記憶なのかと思います。

主人公 泉視点の物語となりますが、複雑な内容ではなく、非常にシンプルながら記憶を呼び戻してくれる素晴らしい作品に思います。

予告編

百花

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