【日本映画】「はい、泳げません〔2022〕」★★★☆☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】
【出演】長谷川博己//占部房子/上原奈美//麻生久美子/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 小鳥遊雄司(たかなしゆうじ)は、泳ぐことができない大学で哲学を教えている男性。ひょんな事から水泳教室に通うことととなり、そこで陸上よりも水の中のほうが過ごしやすいという薄原静香というコーチに出会う。

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着ている水着には色気はありませんが、逆に妙にそわそわする感じもします。

作監督は、1991年「夢二」で助監督を務め、に師事し、1998年「プープーの物語」で映画監督デビューをしています。その後、2004年「ラブドガン」2019年「プリズン13」などを監督しています。2013年「舟を編む」では日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞をしています。

長谷川博己は、2001年、文学座附属演劇研究所に入所し、舞台役者として活躍後、事務所を移籍してTVや映画に主演しています。その後、多数作品に出演し、第35回日本アカデミー賞で『セカンドバージン』で新人賞も受賞し、安定した存在感で定評があります。2020年のNHK大河ドラマ「がくる」で主演の明智光秀役としても活躍しています。

綾瀬はるかは、2000年第25回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し芸能界デビューをしています。2001年『金田一少年の事件簿』でTVドラマデビューをし、2002年「Jam Films『JUSTICE』」で映画デビューをしています。司会業や歌手としても活躍しており、多彩な才能を持ちながらも、天然の明るさのある女優です。

脚本は、渡辺謙作監督が手掛けていますが、もともとの原作は、高橋秀実著のエッセイです。

主題歌は、Little Glee Monster「magic!」「生きなくちゃ」です。

物語は、水が苦手で泳ぐことができない哲学者が、水の中のほうが過ごしやすいという水泳コーチと出会い、そのなかで考え方や生き方が変わってくるストーリーです。

序盤から、小鳥遊雄司の水に対する恐怖体験の話をしているところから始まります。

流石に、あの納豆はちょっと嫌な感じがします。なお、個人的には納豆は嫌いではないのですが、食べなくともなんとかなります。

小鳥遊(たかなし)という名字の由来は、「小鳥が遊ぶ」となり、「鷹がいない」ということになるようです。

「私が助けます」

水泳教室で、水泳を覚えて、水を克服することになりますが、教える先生は、綾瀬はるかが演じている薄原静香となります。

ある意味、こういう先生なら誰しも教わりたいのかもしれません。ただし、着ている水着には色気はありませんが、逆に妙にそわそわする感じもします。

水に対する恐怖心がある小鳥遊は、教師というところもあり、なぜか理屈っぽい口上でなにかと言い訳しますが、この点は感情移入しづらいです。

「顔に水をつけるのはできる」が、「水に顔をつけるのはできない」という屁理屈はなんか説得力があります。

「僕は死んだことはないから、わかりませんよ」

いちいち屁理屈のある主人公ですが、この変な主人公を面白いと感じて観ていけば良いです。

薄原コーチの教えで初めて小鳥遊が泳ぐ教え方にはちょっと凄いと思います。些細なところですが、意識させずに教えるというのは良いです。

「だって、もったいないでしょ、せっかく吸ったんだから」

水中で息を吐くということをしないので泳げなかったり、苦しかったりとするということが泳げない人の問題ともなりますが、克服するためにきっちりと教えていくところは面白いです。

「でも、魚にはヒレがあります。」

「ペンギンはさかなじゃありませんよ。」

小鳥遊はいちいちめんどくさいなぁと思うのですが、徐々に小鳥遊の気持ちもわかるようになってきます。

「生きようと考えるんじゃなくて、生きちゃってるんです。」

スイミングスクールで泳ぎを学んでいく中で、ふと出てくる言葉には別の意味も感じてしまうところがあります。

小鳥遊自体には過去のトラウマがわかり始め、同じく、コーチにも昔に起こったことに問題を抱えています。

それでも生きているというところもあり、そのことを描いた作品ということが徐々に見えてきます。

「ゆうちゃん、なんで泣けへんの?」

中盤以降から、その問題と、泳ぎを学ぶことで物語の骨格が見えてきます。

ただ、泳ぎを学ぶだけでなく、それ以外の生活の中での問題に立ち向かっていくところを、絶妙なバランスで描かれていきます。

単純そうに見える物語ですが、中盤から、メッセージが込められてくるところもあり、そこに本作の興味深いところがあります。

主人公は間違いなく小鳥遊であり、過去の記憶をどのように乗り越えるかというところが本作の中心なのかもしれません。

「まっすぐやなくても、まっすぐに見えるし、真ん中やなくても真ん中にみえんねん。」

「あの喜びを感じてもらいたいんです」

「泳ぐのあきらめて、全部諦めて生きていくんですか?」

「逃げるな」

「水の中なら思いっきり泣けます」

良い言葉が多々出てきます。本作では、何かを乗り越えていくところを描いた作品でもあり、その乗り越えるべきところに、自分だけでなく周囲の協力もあり、そのおかげで前に進めるそんな作品です。

予告編

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