【洋画】「トラフィッカー 運び屋の女〔2020〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/マリヤーナ・ヤンコビッチ/イングバール・E・シーグルズソン/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 ソフィアは、シングルマザーとして麻薬の運び屋を始める。タブレットに仕込んだコカインを飲み込みアイスランドへ入国をするが・・・。

意表をつかれた展開となる作品ではありますが、救いがあまりないという点がありますので、気分の沈んでいるときにはおすすめしない作品

ボクァ・シグソーソン監督は、プロカメラマンを目指しながらも、2008年に短編映画の脚本を制作しており、テレビドラマ「TRAPPED」で監督デビューをしています。

アンナ・プロフニアクは、ポーランドの女優で、2012年「Shameless」で俳優デビューをしており、ゴールデンダック賞にノミネートされています。以降さまざまな映画作品に出演しており、着々とキャリアを重ねています。

物語は、弁護士のエリックとその弟で刑務所から出所したばかりのアトリが、麻薬の密輸を計画し、シングルマザーのソフィアにコカイン入りのタブレットを飲み込ませ、密輸を行い、アイスランドに入国しますが、タブレットを吐き出せないまま、刻一刻と状況が追い詰められていくクライム・サスペンスです。

序盤から、ソフィアが無理にタブレットを飲み込んでいくシーンから始まります。

ソーセージのような形状で、かなりの量を飲み込みますが、結局のところ飛行機内でいくつか吐き出してしまいます。

まあ、なかなか大変なことではありますが、その序盤以降から、徐々に、物語の全容がわかってくるようになります。

むしろ、説明がかなり少ないところもあり、序盤は何をやっているのかちょっとわかりにくいところもあります。

その後、時間が戻り、どういう経緯なのかがわかるようになってきます。演出上は面白い構成ですが、ちょっとまどろっこしい印象もあります。

題名は、このソフィアが主人公っぽいところがありますが、実際にはそうではなく、弁護士と刑務所から出所した兄弟が計画を企てた物語で、ソフィアは、序盤以降は延々とベッドの倒れた状態となっています。

なかなかいろんな意味で、題名とは異なる展開の作品ですが、そのあたりが本作の魅力であるとも言えます。

いかにも悪そうな刑務所帰りの弟は、実はそこまで悪党ではなく、むしろ借金まみれで大変な事になっている弁護士の兄のほうが非情な印象があります。

それと同時に彼らを捜査する女刑事も登場してくることで、登場人物全員が、色んな意味で追い詰められていきます。

明確には描かれていませんが、多分ソフィアは密輸の際にタブレットが壊れてしまい中身が出てきてしまっていることとなり、延々と、嘔吐と気だるそうなソフィアが描かれます。

この追い詰められさ感はなかなか地味ではありますが、ボディブローのようにじわじわと怖さを感じるところがあります。

特に自動車で場所移動をしている際に「病院へ連れて行ってほしい」というソフィアの汗だく感が半端ない印象です。

結末としては、もやもや感が若干残りますが、それは、感情移入する登場人物を誰に置くかで変わってくるところでもあり、むしろ、誰にも感情移入できないという点で言えば、ちょっと苦痛な映画なのかもしれません。

題名から、意表をつかれた展開となる作品ではありますが、救いがあまりないという点がありますので、気分の沈んでいるときにはおすすめしない作品です。

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