【日本映画】「何者〔2016〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 拓人は大学の演劇サークルで脚本を書き、人間観察が得意。拓人は大学4回生となり、就職活動を始める。そんなさなか、着実に内定を決める「光太郎」、光太郎の元カノの「瑞月」、意識が高く結果が伴わない「理香」、就活はせず独自の道を選ぶも焦りを隠せない「隆良」がであり、SNSや「就活対策本部」と称した仲間のたまり場を通じて、人間関係を描いた作品。

リアルタイムに就職活動をしている人には、ツライかもしれませんが、観ておいて反面教師とするのが良いかもしれません

三浦大輔監督は、1996年に演劇ユニットポツドールを結成し、演劇を多く手掛けています。2003年「はつこい」で 映画監督デビューをし、その後、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を手掛けています。2014年「愛の渦」で自らの戯曲を 映画化し、話題となっています。「 裏切りの街」「娼年」など、演劇作品を映画化している作品も多く、オリジナル脚本の映画を送り出している監督です。

佐藤健は、高校生のときに原宿でスカウトされ、2006年『プリンセス・プリンセスD』で俳優デビュー後、2007年平成仮面ライダーシリーズ第8作『仮面ライダー電王』で主演を務めています。その後、 映画や舞台に多数出演しており、2020年3月にはYouTube公式チャンネルを解説しています。

有村架純は、2010年に『ハガネの女』でドラマ初出演をし、その後、連続テレビ小説 『あまちゃん』で演じる主人公の母親の若かりし頃を演じて人気となり、高感度の高い役者です。

「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ原作の映画。

当然、期待感もあり、群像劇の中から見える様々な思惑を描く作品でおもしろさがひしひしと感じられたのですが、ちょっと肩透かしなところはありました。

キャストも若手の人気のある役者を揃え、音楽も中田ヤスタカという贅沢な布陣だったのですが、どうも見え隠れする人物の思惑があまりに痛々しいなぁというのが肩透かしの理由。

就職活動を通じて、見栄と虚栄が渦巻き、更にSNSなどを通じての、裏表や優越感、信頼関係や友情、恋愛など他人の嫌な部分が生々しく描かれます。

そのくらいであればまだ良いですが、20歳を超えて就職活動をしているという視点から、「何者」という題名が示すとおり、あまり自分自身を見つめきれていない登場人物しか出てこないところにちょっと違和感を感じます。

「他人のことが気になりすぎていて、自分自身に自身が持てない」そんな要素が非常に大きく、登場人物のすべてが頼りなく見えます。

主人公とそのヒロインですら、学生ならではの不安と自身のなさが見え、同世代であれば共感できるかもしれませんが、それでもちょっと人間不信に陥ってしまうようなところがあります。

言い換えると、気分が滅入るような展開であり、小説としては面白いのかもしれませんが、どうしても人を信頼するということが薄っぺらく思えてしまいます。

こういう作風は、映画「愛の渦」でもありましたが、他人を観察するということで、良い部分も悪いところも見えてしまい、あまり心地の良いものではなかったかもしれません。

そういった意味では気楽に見る映画というよりも、自分自身の立ち位置を見直すきっかけとなる映画であると思います。

リアルタイムに就職活動をしている人には、ツライかもしれませんが、観ておいて反面教師とするのが良いかもしれません。

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