【洋画】「2重螺旋の恋人〔2018〕」★★★★☆絶妙な物語構造のある映画として、フランソワ・オゾンの映画の魅力が詰まった良作

作品紹介

【監督】
【出演】/ジェレミー・レニエ
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 クロエ(マリーヌ・バクト)は原因不明の腹痛で精神分析のカウンセリングを受ける。精神分析医のポールもとで腹痛は改善し、さらにポールと恋に落ちる。同棲を始めることとなるが、街で瓜二つのルイに出会う。ルイはポールと同じく精神分析医を営んでおり、全くの正反対の性格のルイに心を動かされる。

「スイミング・プール」「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督の作品。

R18+指定の映画。

【感想・レビュー】絶妙な物語構造のある映画として、フランソワ・オゾンの映画の魅力が詰まった良作

物語は、双子を題材とした作品ではありますが、それだけでは終わらない物語はフランソワ・オゾン監督の真骨頂。

個人的にはなんとなくフランソワ・オゾン監督と監督には、何かしら通ずるものがあります。

それは男性の監督ながら、女性賛歌の作品が多く、さらに物語が些細なことをを主軸に、複雑な心理描写を行うところが卓越している点なのかもしれません。

双子の男性に、心動かされる役どころを見事に演じているマリーヌ・バクトも魅力的で、凛とした女性像ながらどこか弱さをみせているところが良いです。

個人的にはかなりツボな女優ではあります。

双子という題材は、監督自身が興味を抱いていた題材で、双子の神秘性に翻弄する展開は、クロエの妄想も併せて複雑に絡み合っています。

このあたりが題名の「二重螺旋」を想起させ、DNAという暗喩も含まれていると思われます。

精神科医の部屋へも、螺旋階段を通るところが描かれており、画面構成に巧みなメッセージが込められています。

監督が説明するには、4回ほど観れば、謎は解明できると発言しており、随所にヒントは隠されています。

最終的には観るものに判断を委ねる終わり方をしていますが、これも見返すことで解釈ができます。

主人公 クロエは、美術館員を仕事としていますが、ここで展示されているものはすべてこの映画のために作られたものであり、この展示物にも暗喩が込められています。

ワンカットで撮影している美術館のシーンでも、ワンカットで再度同じ場所が映った時に多少の見え方が変わっているところも巧みな心理描写となっています。

後半は多少グロいところもありますが、こうした観せ方から真実が隠されているところもあり、ラストシーンの解釈ができます。

答えは注意深く観ることで、だいたいの解釈ができるはずです。かなり難解な映画にも見えますが、それこそが「二重螺旋構造」と思われます。

絶妙な物語構造のある映画として、フランソワ・オゾンの映画の魅力が詰まった良作です。

予告編

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