作品紹介
【監督】フィリップ・バランティーニ
【出演】スティーヴン・グレアム/ヴィネット・ロビンソン/アリス・フィーザム/レイ・パンサキ/ハンナ・ウォルターズ/マラカイ・カービー/タズ・スカイラー/ローリン・アジューフォ/ジェイソン・フレミング/ルルド・フェイバース/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 アンディは、ロンドンの高級レストランのオーナーシェフ。クリスマス前の金曜日の夜の1日の間にさまざまな問題が起こる。
サブスクで観る
リアリティが必要かどうかはわからないのですが、次々に起こる問題というところでは効果的
フィリップ・バランティーニ監督は、1996年から俳優として活動し、2000年「Dream Team」で俳優デビューをしています。2019年「Seconds Out」短編映画を監督し、2021年「ボイリング・ポイント/沸騰」では、ワンカットで撮影した長編映画で話題となっています。
スティーヴン・グレアムは、イギリス俳優で2000年「スナッチ」で注目されます。2006年『THIS IS ENGLAND』で英国インディペンデント映画賞の助演俳優賞にノミネートされています。
物語は、ロンドンの高級レストランで描かれる出来事を90分ワンカットで描いた群像劇です。
序盤から、主人公のアンディが自分の店と電話をしながら、仕事場に向かうところから描かれます。
開店前のレストランの状況が描かれ、食品管理の監査員がレストランの状況を確認しています。
衛生管理検査でレストランのランクが決められるので、この評価は大事な事ですが、結果的には評価は5点から3点に下げられてしまいます。
この作品は、カメラがワンカットで撮影されていますが、同様な作品は、「カメラを止めるな!」「1917 命をかけた伝令」「ウトヤ島、7月22日」などがあり、撮影技術により、ワンカットに見えるような演出になっています。
継ぎ目が分からりにくいところもありますが、カメラがパンするときに高速にパンをして繋いでいる手法だと思います。
主人公のアンディは、オーナーシェフでもあり、経営も調理もすべて行っているので、微妙に問題の現況はこの主人公の責任でもあります。
ロンドンの高級料理店でもあり、環境が良さそうな店でもありますが、厨房や店側動きを描いた作品は、総じて面白い作品が多いです。
あとは、徐々に起こる問題とその状況を乗り切る展開となりますが、料理がメインと言うよりも、レストランの内幕を描いているところがあり、普段客側としてレストランに関わる人が多いと思うので、この内幕を描いているところは、とてもおもしろいです。
多くの登場人物がおり、主人公のアンディだけが中心というわけでもないので、店員同士の会話も面白いです。
本作の題名「ボイリング・ポイント/沸騰」は料理のことではなく、終盤まで見れば大体分かります。
ちょっとだけ不満点を言えば、美味しそうな料理を色々と観られればよかったのですが、その点は残念です。
90分間のワンカット撮影という点では、レストランの照明のみで撮影しているので、画面の暗さが、料理が引き立たないところでもあるかと思います。
なぜ、ワンカットにしたのかという理由が希薄な点もちょっと気になりますが、リアリティという点がその理由なのでしょう。
リアリティが必要かどうかはわからないのですが、次々に起こる問題というところでは効果的だったのかと思います。