【監督】三木聡
【出演】成田凌/前田敦子/六角精児/片山友希/ふせえり/岩松了/渋川清彦/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 加藤は、売れない脚本家として生活をしていたが、恋人の飼い犬に執筆の邪魔をされ、犬を山に捨ててしまう。後味が悪く、再び愛犬を探しに行くが、そこで自動車が故障をし、さまよう中、コンビニ「リソーマート」にたどり着く。
何かを達成するという大命題に欠けてしまっているところに、本作のなんと言えない不完全燃焼感
・三木聡監督は、20代より放送作家として活躍し、『タモリ倶楽部』『ダウンタウンのごっつええ感じ』『トリビアの泉』などに関わっています。2000年「まぬけの殻」で映画監督デビューをし、2005年「イン・ザ・プール」で長編を制作しています。「亀は意外と速く泳ぐ」などの名作を手掛ける反面、テレビドラマでも、「時効警察」「熱海の捜査官」「変身インタビュアーの憂鬱」などを手掛け、ユルい作風ながらも、鋭い視点の作品が多いです。
・成田凌は、『MEN’S NON-NO』のモデルとして活躍以後、TVや映画でも出演するようになり、若手として着実なキャリアを積んでいます。
・前田敦子は、2005年「AKB48 オープニングメンバーオーディション」に合格し、AKB48メンバーとして活躍。その後、2012年に卒業をしています。女優業は2007年『あしたの私のつくり方』でデビューをしており、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」「もらとりあむタマ子」「さよなら歌舞伎町」などの映画のみならず、テレビドラマや舞台と活動の幅を広げています。2018年に勝地涼と結婚し、1児の母となっていますが、2021年に離婚を公表しています。なお、小型船舶免許2級を取得しています。
・本作は映画評論家のマーク・シリングの原案で、三木聡監督が脚本を手掛けた作品です。
・物語は、売れない脚本家が山奥の不思議なコンビニ迷い込み、そこで不思議なことを体験していくストーリーです。
・序盤から同棲中の主人公が彼女と何気ない口論をするところから描かれます。
・そのシーンは物語のプロットとなっており、売れない脚本家の主人公が売り込みに来ているという流れとなっています。
・映画業界の話となっていますが、不条理さとなんとなくな小ネタを随所に盛り込んだ展開となっており、三木聡的な雰囲気があります。
・なもんで、そのテイストが受け入れられない場合は、本作はおすすめしづらいところになります。
・「こっちにはこっちの世界があるんですよ」
・コンビニに自動車が突っ込んでくるという事故が起こりますが、どこかしら現実感が持てないながらも、本作はそんな不条理感のみで成立してる感があります。
・「あのさあ、ガソリンの匂いって興奮しない?」
・ちなみに個人的には、ガソリンの匂いは嫌いではないです。ガソリンの臭いは、ベンゼンの匂いが元となっています。
・劇中劇での映画撮影が物語の中で行われていますが、どうも、三池崇史作品的でもあり、B級がそこまでも、そこはかとなく感じるところではあります。
・もともと、三木聡映画にはB級的なアプローチが多いので、この部分に免疫がない人には受け入れ難いと思います。
・「スローモーションが、相撲ローションだったらどうする?」
・こういう妙につまらない小ネタを入れるのは、三木聡的なところです。
・物語の本筋が見えにくいというのもあり、結局、主人公の行動動機等がわかりにくいんですけど、その点も三木聡的です。
・「太陽って、8分前の太陽でしょ?」
・小ネタを言わせるのと、登場人物のキャラクター性がちぐはぐな感じがあり、時効警察以降の三木聡脚本では、この点に注意を払わなくなったのかなぁという気がします。
・オチ的に本作は、観た人に委ねる系の作品であり、賛否が分かれるところはあります。
・結局、何かを達成するという大命題に欠けてしまっているところに、本作のなんと言えない不完全燃焼感があります。
・万人にすすめる作品ではないので、その点も注意して鑑賞すると良いです。