【監督】黒沢清
【出演】 長澤まさみ/松田龍平/長谷川博己
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】不仲だった夫婦の夫が数日間行方不明となり、ふと自宅に帰ってくる。しかし、夫は今までの性格とは異なり穏やかで優しくなっていた。そして行動も毎日のように散歩に出かけるようになった。同時期に街では一家惨殺事件が起こったのをはじめとして、奇妙なことが多発するようになる。
見終わってからのモヤモヤ感がありますので、万人にはオススメはしないですが、良作
原作は前川知大主宰の劇団イキウメの初演舞台。
監督は、「CURE」「アカルイミライ」の黒澤清監督。
松田龍平は、父親に松田優作を持ち、同じ俳優の道を進み、 「御法度」で大島渚監督の目に留まり 映画デビューしています。
長澤まさみは、東宝「シンデレラ」オーディションで史上最年少の12歳でグランプリを獲得し、その後、映画『クロスファイア』で映画デビューしています。ティーン雑誌『ピチレモン』の専属モデルとしても活躍し、2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロイン役としても話題となり、多彩な演技で注目されている女優です。
松田龍平が宇宙人の役としてハマり役過ぎる。振る舞いや口調がもともとこんな感じの人でもあるので、演技なのか素なのかちょっとわからないながらも、こういう妙に通わない感情の持ち主が光っている。
周囲で起こる奇妙なことはのちに「地球を侵略しにきた」という言葉ですごくしっくりくる端的な説明でもあった。
侵略とはいえ、映像的には淡々と日常が描かれる展開となっておりSF要素があるようなストーリーとは異なる描き方が面白い。
「概念を奪う」という手法も考え方によっては深い。いわゆる「ヤル気をなくす」というのにも近いのかもしれない。
侵略者の実態は描かれることはなく、この辺りに演劇原作の演出方法がある。むしろ、SF映画のように醜い宇宙人が姿を見せないからこその恐怖感と奇妙感が同居しているのだと思う。
中盤CGを使ったシーンもあるのですが、この辺りはちょっと興ざめするところもある。
仕方ないのかもしれないけど、日常にある非日常が秀逸なだけに、残念な部分でもある。
概念という言葉に受け取り方があるので、見終わってからのモヤモヤ感がありますので、万人にはオススメはしないですが、良作だと思います。