【監督】アンリ・コルピ
【出演】アリダ・ヴァリ/ジョルジュ・ウィルソン
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公はパリでカフェを経営するテレーズ。ある日店の前を通る浮浪者に気をとめる。16年前に戦争でゲシュタポに強制連行された彼女の夫に似ていた。彼女は浮浪者に声を掛けるが、彼は記憶喪失だった。
フランス映画っぽい心に訴える良作
・第14回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。
・全編モノクロームの映画ですが、意外と気にならないです。むしろ卓越したカメラワークが必見。
・記憶をなくした浮浪者と夫の帰りを待つ主人公の物語はシンプルで、テレーズがいつまでも夫の戻りを待つ気持ちがヒシヒシ伝わります。
・浮浪者の夫に似た人物は明確に素性が明かされませんが、観る側に解釈を委ねる物語となっています。
・美しくも悲しいダンスや、大好きなブルーチーズでも記憶が取り戻せませんが、密やかにその確信が高まってきます。
・1961年の作品でありながらも綿密に計算された画面構成とストーリーはとても秀逸です。カンヌ映画祭パルムドールの受賞がさらに裏ずけています。
・アンリ・コルピ監督はヌーベルバーグの時代の監督ですが、意外にも映画監督作品は少なく、主にテレビシリーズなどでの作品が多いです。まさしく珠玉の作品とも呼べる映画となっています。
・衝撃的なラストでの幕切れですが、テレーズの気持ちを考えると、生きる意志があり、この幕切れには希望も見出せます。
・フランス映画っぽい心に訴える良作です。