【日本映画】「告白〔2010〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公は中学生教師の森口悠子。彼女は教え子に娘が殺されたことを終業式後に告白する。その衝撃的な告白から、壮絶な復讐劇が始まる。

復讐する物語であり、容赦ない展開となりますが、色々と考えさせられる要素の強い作品

中島哲也監督は、CMやプロモーションビデオの制作に携わったのち、「はの字忘れて」で映画監督デビューをします。

厳しい印象で制作に関わることで知られていますが、一貫した演出力は日本ではあまり類の見ない独特な立ち位置の監督かと思います。

湊かなえ原作の小説の映画化であり、「聖職者」という小説でデビュー後の次の作品が本作に当たります。

主演の松たか子は、父親が (2代目)でもあり、歌舞伎役者の家族として、芸能界で女優を行なっています。役者・歌手と多才な才能の持ち主でもあります。

アナと雪の女王での主題歌を歌いましたが、この歌唱力は演技者としての要素を引き出しているからこその歌唱力でもあり、通常の歌手とは異なるアプローチでの歌手として存在していると思っています。

本作は、少年犯罪、家庭内暴力、イジメなど学校で引き起こされる問題に提起しているところもあり、作品的にはR15指定となります。

R15指定ながらも、異例のヒットとなった作品でもあり、本作の注目のされ方と日本アカデミー賞で4冠の実績があります。

日本アカデミー賞ってところには、大いなる権威があるわけではないですが、それはそれです。選考会員に厳密な公平性があるわけではありませんし。

なお、2010年の邦画の興行収入の第7位という実績があります。

本編は、終業式後の最後の授業を行う主人公の告白から始まります。

この時点でほとんどの事柄は仕組まれているところもあり、その後、新学期を迎え、進級した学生たちの生活が描かれます。

やたらスローの映像と、モノクロームの映像にブルーの色調で統一された映像に、この映画の筋の通った物語があります。

冒頭で、主人公森口先生の告白から始まり、この淡々な状況説明のセリフは物語としてはどうかと思いますが、こういう物語でもあります。

ほとんどの状況はセリフでの説明ではなく、要所要所のキャラクターの告白となっており、その告白を元に真相と各登場人物の心情が描かれています。

結局は、森口先生の告白が物事の発端のように見えますが、「憎しみを憎しみでかえしてはいけない」というように、森口先生の復讐自体が本当に実行されたのどうかは、明らかにされないような描き方になります。

少年Aの動機は、母親の虐待から生まれたところもあり、森口先生自体は、その状況を話したのみで、実行をしていないように解釈できます。

この映画の興味深いところは、冒頭の告白が引き金で、何の考えもなかった生徒の意識が誘導されるところであり、日本特有の同調意識をどう捉えるかというところに、問題点を浮き彫りにさせているところです。

最終的なオチについても、明確にどうなったかは描かれているわけではなく、思い込みから生じる様々な意識の方向性が自然に動き始めるところです。

森口先生の行為は必ずしも悪いわけではありませんが、褒められた行為とも言えるところではなく、些細なことが思い込みにより、過大に影響を及ぼしてしまうところでもあります。

復讐する物語であり、容赦ない展開となりますが、色々と考えさせられる要素の強い作品かと思います。

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