作品紹介
【監督】山田篤宏
【出演】阿部寛/芦田愛菜/藤原大祐/長尾謙杜/三宅弘城/橋本淳/板倉俊之/浜野謙太/美保純/田島令子/夏川結衣/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 山縣泰介は、大手ハウスメーカーに勤める男性。ある日、SNSで女子大生の遺体画像が拡散され、殺人犯として名指しされてしまう。
インターネット上での発言が気軽で当たり前になった今だからこそ
山田篤宏監督は、東京出身の映画監督で、ニューヨーク大学で映画を学び、乃木坂46のミュージックビデオや短編映画を手がけています。第1回木下グループ新人監督賞でグランプリに選ばれた「AWAKE」で長編映画監督デビューをしています。
阿部寛は、「集英社第3回ノンノボーイフレンド大賞」で優勝し、以降モデルとして活躍しています。1987年『はいからさんが通る』で映画デビューをし、人気となりますが、徐々に低迷し、2000年『TRICK』の人気により新境地を見出し、その後、コメディからシリアス物まで柔軟に役をこなす俳優となっています。
芦田愛菜は、母親に進められ、3歳より芸能界デビューをしています。2011年「マルモのおきて」で人気となり、以降様々なメディアに登場しながらも、難関校でもある慶應義塾中等部に入学しています。
本作は、浅倉秋成による2022年『俺ではない炎上』が原作となっています。
物語は、大手ハウスメーカーに勤める主人公が、とある画像がSNSに掲載されたことがきっかけで殺人犯の疑いをかけられてしまうストーリーです。
序盤から、とある写真をSNSに投稿して家から出かけていく男性が描かれます。そのことはきっかけで主人公の泰介がトラブルに巻き込まれていきます。
山縣泰介は、とあるハウスメーカーの営業で、SNSの投稿がきっかけで街の人から噂を立てられ、しばらく外出ができないほどの社会認知になってしまいます。
ネットで拡散されている情報は、殺人犯であるという誤解から生まれているところで、気軽に投稿した内容がまったく見ず知らずの人の人生が狂っていってしまいます。
タイトルにもある「俺ではない」という言葉が意味深で、「自分はやっていない。」「自分には関係ない。」そう訴えても、一度疑いの目を向けられてしまうと、周囲の人々は必ずしも本人の言葉を信じてくれるとは限らなくなっていきます。
インターネット上で情報が拡散されるほど、本人の言葉よりも、誰かが発信した情報や、それを見た人たちの反応のほうが大きな影響力を持ってしまい、そのことで情報が独り歩きしてしまいます。
「あんたが諸悪の根源だからだろうが。」
本作を象徴するようなセリフとして印象に残るところでもあり、炎上が起きると、どうしても目立っている人物や、批判の対象になっている人物ばかりに注目が集まりますが、本当に考えなければならないのは、誰が悪いのかということだけではなく、そもそも、なぜこのような状況になったのか。誰が情報を広め、誰がそれを信じ、誰がさらに話を大きくしてしまったのか。というところに本作の深みがあります。
自分は悪くない。悪いのは相手だ。自分は正しいことを言っているだけだ。という考え方で、誰にでもある程度は当てはまるものかもしれません。最初は小さな批判だったものが、拡散されるにつれて大きな騒動へと発展していく。そうなってしまうと、一人ひとりがどれだけの影響を与えたのかも見えにくくなります。これが本作の興味深く観られるところです。
SNSによる情報拡散や、集団心理によって人が追い詰められていく様子を描いたサスペンス作品で、主人公が逃げ続ける展開を楽しみながらも、その背景にある人間の心理や、ネット社会の問題について考えさせられるところがあり、「自分は正しい」「自分は悪くない」という気持ちが、必ずしも正しい判断につながるわけではないということです。
インターネット上での発言が気軽で当たり前になった今だからこそ、SNSを利用する人には一度考えてみてほしいテーマの作品です。
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