作品紹介
【監督】越川道夫
【出演】佐藤里穂/落合モトキ/嶺豪一/山本圭将/橋本つむぎ
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 ハナは、突然、恋人のショウイチロウを失った30歳の女性。その後、ショウイチロウの親友だったアカツキと関係を結ぶようになるが・・・。
独特の時間の流れが本作の味
越川道夫監督は、2001年「路地へ 中上健次の残したフィルム」を製作し、2015年「アレノ」で監督デビューをしています。
佐藤里穂は、山形出身で、2022年「背中」で初主演をしている女優です。
物語は、恋人を失った女性と、その親友との奇妙な関係を通して、人を愛することや、誰かを待ち続けることの意味を描いたストーリーです。
越川道夫監督作では、これまでにも「海辺の生と死」や『愛の小さな歴史』などで、人々の生や性、そして男女の関係を独自の視線から描いてきており、本作も一般的な恋愛映画とは少し違った作品になっています。
物語の中心にいるのは、恋人に突然去られてしまったハナで、ショウイチロウの帰りを待ちながら、その親友であるアカツキと関係を持つようになります。
「うれしいなぁ、また三人揃った」
この関係だけを見ると少し複雑にも感じられますが、単純に「どちらの男性を選ぶのか」という恋愛の話として描かれているわけではなく、むしろ、いなくなった人を待ち続けるハナの時間と、そんなハナと関係を持ちながらもショウイチロウを捜しているアカツキの時間が、ゆっくりと描かれていきます。
「みんな死ぬために生まれてくる」
本作では生きることと死ぬこと、愛することと失うことが、完全に別々のものとして描かれているわけではなく、誰かを愛することには、その人を失う可能性も含まれており、当たり前だけれども普段はあまり意識しない部分を、男女の関係を通して描いている作品ではあります。
登場人物たちがすべての感情を説明してくれるわけではなく、言葉ではなく、表情や視線、距離感、そして海辺の風景などから人物の心情を想像させる場面が多く、観る人によって受け取り方も変わってきますので、ストーリーをテンポよく楽しみたい人にとっては、少しゆっくりと感じられる部分もあるかもしれません。
登場人物の感情や男女の関係をじっくりと眺めるような映画が好きな人には、この独特の時間の流れが本作の味になります。
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