作品紹介
【監督】アレックス・ガーランド
【出演】キルスティン・ダンスト/ヴァグネル・モウラ/スティーヴン・ヘンダーソン/ケイリー・スピーニー/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】アメリカ連邦政府から19の州が離脱、そのことで、アメリカ崩壊の危機に4人のジャーナリストが大統領にインタビューを行うべく、ホワイトハウスに向かう。

強いて言えば「フルメタル・ジャケット(1987)」の後半部分が
アレックス・ガーランド監督は、2000年「ザ・ビーチ」で原作を手掛け、その後、ダニー・ボイル監督作品の脚本を手掛けています。2015年「エクス・マキナ」で監督デビューをし、アカデミー脚本賞にノミネートもされています。シナリオが独特な監督です。
キルスティン・ダンストは、モデルとして活躍し、1989年『ニューヨーク・ストーリー』で映画デビューをしています。1994年『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』で評価され、2002年以降の『スパイダーマン』シリーズでヒロイン役もしています。2007年『Welcome』で監督デビューもしています。
物語は、19の州が連邦政府より離脱したアメリカ。アメリカの危機に、ベテラン戦場カメラマンのリーと記者のジョエル、老記者サミーと、リーに憧れる駆け出し写真家ジェシーの4人のジャーナリストが大統領にインタビューすべく、ホワイトハウスを訪問する道中、様々な内戦の惨状を目の当たりにしていくストーリーです。
序盤から、架空の世界のアメリカでの国内内情が描かれ、現在のアメリカとは違い、内部崩壊をしている状況でもあり、悪い方向に進んだifのアメリカ国家を描いています。
この「もしものアメリカ設定」は、現代の世界情勢を見た時に、架空の話と受け取れないところもあり、実際にアメリカが破綻した場合はこのような世界となってしまうのではないかと感じてしまいます。
4人のジャーナリストが内乱状態にあるアメリカを横断し、ホワイトハウスの大統領にこの状況をインタビューしようとしていく序盤があり、ある意味、ロードムービー感があります。
内戦状態のアメリカを非戦闘員が旅をしていく展開ですが、中盤以降、狂気の世界が徐々に広がっていきます。
特に同じアメリカ国内の国民が愛国者かどうかで処刑をしていくところは非常に緊迫感があり、本作の強いメッセージのあるところにも思います。
武器を持つ兵士とジャーナリストたちの構図は、今までの戦争映画とはちょっと違うところがあり、なんとなく、戦争映画とは別の次元の戦争を描いているようなところがあります。
この中盤のシーンは必見でもあり、生と死が非常に近いところにいながらも、そのきっかけはまさにちょっとしたことで変わってしまう戦争での死生観とは異なりながらも、戦争の恐ろしい側面を描いているように思います。
主人公らはあくまでジャーナリストであり、カメラを武器に戦っている点も興味深く、直接的に人を殺すことはしていないながらも、その狂気の状態をカメラにおさめて行くところには、違った意味で、カメラもまた武器となっているように思います。
終盤のホワイトハウスでの展開も、いままではあまりカメラマンとして活躍できなかったジェシーが、開眼したかのように写真を収めていき、そのカメラの撮影の演出には、地味ながらも、本作が内戦を描いた作品ながらも、その凄惨さをジャーナリストの目線で描いているところが強烈な印象を残します。
似たような作品があまりない印象の作品ですが、強いて言えば「フルメタル・ジャケット(1987)」の後半部分が本作の本当に描きたかった演出だったようにも思えます。
予告編
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