【洋画】「関心領域(2024)」★★★★☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】ジョナサン・グレイザー
【出演】クリスティアン・フリーデル//ラルフ・ハーフォース/Max Beck/Stephanie Petrowitz/Lilli Falk/
【個人的評価】

【あらすじ】舞台は、第2次世界大戦中。アウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を「The Zone of Interest(関心領域)」と名付け、そこで生活をする人々を描く。

関心領域

関心領域

クリスティアン・フリーデル, ザンドラ・ヒュラー
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起こったことを描かないながらもどこか異質なところに怖さがあります

ジョナサン・グレイザー監督は、CMやミュージックビデオを制作しており、1996年 ジャミロクワイ「ヴァーチャル・インサニティ」のミュージックビデオが非常に有名です。2000年『セクシー・ビースト』で映画監督デビューをしており、評価されています。2013年『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』では、賛否の分かれる作品でしたが、批評家からは、概ね評判を得ています。2023年「関心領域」でカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。

クリスティアン・フリーデルは、ドイツの俳優で、2009年「白いリボン」で映画デビューをしています。2015年「13 Minutes」で評価され、様々な賞を受賞しています。

物語は、第2次世界大戦中、「The Zone of Interest(関心領域)」と呼ばれる、アウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域に住む人々を描いたストーリーです。

本作は、第76回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。

第96回アカデミー賞では、5部門にノミネートされ、国際長編映画賞・音響賞を受賞しています。

作品は、戦争中の内容となりますが、原作は、イギリスの作家マーティン・エイミスの小説となっています。

作品に登場する家は、実際にアウシュビッツ強制収容所の所長が住んでいた邸宅であります。

序盤から不穏な曲より始まり、そこから湖畔で楽しんでいる家族が描かれます。平和そうな感じでもありますが、本作は見えているものだけではわからないような演出がされています。

何も不安のないような感じがしますが、どこか不穏な感じ充満しています。

特に気をつけたいのは音でもあり、見えている映像とは別に遠くの音で何かが起こっているようなところを感じます。

きれいな家で芝生のある庭でもありますが、その隣には妙な壁があり、この壁の向こう側に本作のメッセージがあります。

部屋で毛皮の着こなしを見たり、化粧をしたりと何気ないような日常に見えますが、それも意味深な演出がされています。

主人公が明確にいるような感じがせず、なにか観察をしているような感じもします。

会話の中身も普通の日常会話のように見えますが、主語がわかりにくいだけでよくよく読み取ると、実に意味のある会話となってきます。

急に値が反転した映像で地面にりんごを埋めているシーンが描かれますが、とにかく説明がないので状況から意味を読み取るしかありません。

何かが起こっているシーンも実際に映像には描かれず、音を聞いているだけでなにか起こっているような演出でもあり、見せない恐怖が恐ろしさを感じさせます。

場所がアウシュビッツ収容所近辺であることが徐々にわかってきますが、決して収容所を描くことがなく、平和そうなシーンが描かれるだけで淡々としています。

想像力を刺激するシーンの連続でもあり、映像にはなにも不思議なことがないように見えて、実は凄惨なことが起こっているかもしれないこの演出は、本作の映画のポスターにも示されています。

中盤で画面が赤くなり不思議な演出になりますが、本作は観ている側の映像読解力を試しているとしか思えない演出で、ほぼFIXのカメラワークで平穏な状況が描かれますが、壁の向こう側には妙な建物が見える程度です。

戦争で起こったことを凄惨に描く作品は多かったのですが、本作はむしろ真逆であり、何も怖いところはなく、むしろ想像力を働かせたときに恐怖を感じるところもあります。

中盤でヒトラーの名前が出てくることで、戦争中のドイツ側をえがいた作品ということがしっかりと分かるところでもあり、地下室でなにか洗っているシーンも明確な説明がありませんが、起こったことを描かないながらもどこか異質なところに怖さがあります。

終盤、淡々と掃除をするシーンが描かれますが、このシーンは状況や道具を見ればわかりますが、これもまた作品内で細かい説明はありません。

できればオーディオコメントのある解説付きで観られると良いのですが、本作にはそのようなものはないと思います。

映像の読解力を試される作品ではありますが、予告編を観たうえで鑑賞すればほぼ理解できると思います。

予告編

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