【監督】宮崎彩
【出演】福田麻由子/小林麻子/池上幸平/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 上埜さくらは、母親と2人で暮らす女性。ある日仕事をやめてしまい、一時的に保育所で働くことになる。
ちょっとモヤモヤが残る作品ではありますが、雰囲気や意図は絶妙なところで汲み取れます。
・宮崎彩監督は、是枝裕和監督の元で映像制作を学び、2020年「グッド・バイ」で映画監督デビューをしています。
・福田麻由子は、4歳のときに東京児童劇団に入り子役デビューをしています。2004年「下妻物語」で映画デビューをし、その後、テレビドラマや映画で活躍をしています。2013年『FLARE〜フレア〜』で映画初主演をしています。私生活と芸能活動を両立しながら活動をしており、2022年には一旦芸能活動を休止しています。
・物語は、主人公が仕事を辞めて、保育所の手伝いをしていたが、ある日、園児の父親と出会い、その男性に昔の父親の面影を重ねて昔の自分の境遇を振り返って行くストーリーです。
・序盤から、退屈な毎日を過ごしていることで、仕事をやめてしまったさくらが描かれます。
・仕事を辞めてしまったことで、知人から一時的に保育園で働くことを誘われ、なんとなく保育園での仕事を始めます。
・演出的には、是枝裕和監督の下で映像制作を学んできただけあり、わかりやすいドラマ的なような描かれ方よりもリアリティを持つような演出になっています。
・細かい描写で状況を描いているところもあり、淡々としているようですが、しっかりと行動やその雰囲気だけで、物語を示しているところはあります。
・母と2人で暮らしているさくらは、要所要所で父親のことが語られます。
・保育園の保護者の新藤と出会い、そこに父親の面影を重ねますが、新藤から見ると、そうではない感情があるようにも見えます。
・「そこ、ママの席だよ」
・「でも、今日は私が座るの」
・これも同じく、さくら自体も父親の面影を重ねるというよりもちょっと違った感情があったのかと思います。
・とはいえ、カレーに入っている肉の大きさの違いは、その家ならではの違いが示されており、育った環境で当たり前のことが当たり前ではないことに気付かされます。
・「あのときお母さんどこに行ってたの?」
・この言葉で、この物語の構造にちょっと気付かされますが、さくらが現在取っている行動は、昔の父のいたであろう不倫相手の行動だったのかと思われます。
・さくらと母と父、新藤と子供とその母親、この相関は、細かく語られませんが、昔、さくらが子供だった頃の対比が含まれているのかと思います。
・ふらっとさくらの父親が自宅に帰ってきますが、家を手放すということで、戻ってきて身辺整理を始めます。
・父親の面影という点では、やはり、親子の感情というところであり、男女という関係ではないという気持ちに戻るところを感じます。
・「おかあさん、おとうさんに合わせて作ってたんだね。」
・フラッと登場した父親ではありますが、さくらの家の環境があまり深く描かれないので、会話と行動でなんとなく、その行間は読み取る必要があります。
・主人公はさくらではありますが、さくらが持った複雑な気持ちはラストシーンで描かれます。
・ちょっとモヤモヤが残る作品ではありますが、雰囲気や意図は絶妙なところで汲み取れます。