【日本映画】「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話〔2018〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 鹿野靖明は、12歳のときに筋ジストロフィーという難病にとなり、顔と手の一部程度しか動かせなくなってしまいました。そのためボランティアを集め、生活を維持していましたが、鹿野靖明の生活とわがままには理由があった。

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

重々しい物語ではないところに、まずは軽い気持ちで観てもらいたい作品

・前田哲監督は、フリーの助監督として多数の作品に参加、1998年オムニバス映画『ポッキー坂恋物語』で監督デビューしています。

・大泉洋は、北海道出身で、学生時代に「TEAM NACS」を立ち上げ、その後北海道を中心に活躍、2004年に東京に進出し、親しみやすいキャラクターで、TVや映画で活躍する俳優です。

・高畑充希は、幼いころから役者に興味を持ち、2005年『山口百恵トリビュートミュージカル プレイバック part2 ~屋上の天使』のオーディションに合格し、女優デビュー、その後2016年朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で主演を演じ、安定した人気のある女優です。

・物語は、実話をベースに筋ジストロフィーという難病の主人公を中心とした物語です。

・序盤は、鹿野の横暴ぶりが描かれながらも、喋る以外はほとんど自分で何もできないことで、鹿野の印象があまり良くは映りません。

・それは周囲のボランティアにも影響されるところがあり、入れ替わるかのように辞める人も出てきます。

・医師志望の田中くんは、医師の勉強も兼ねてボランティアに参加しています。

・その彼女でもある美咲も鹿野宅に伺いますが、鹿野に気に入られ、ボランティアに呼ばれるようになります。

・怒りの頂点になるのは、真夜中にバナナを探しに行かせるシーン。

・この作品の題名ともなるところで、バナナを探し当てて鹿野宅に戻ってきた時の美咲の顔は、とても言い表せない表情をしています。

・そこで鹿野の対応ですが、やはり憎々しいところがあります。

・では、何故そこまで横暴であるのか?と考えると、むしろ自然なことなのかもしれないと気づかされます。

・五体満足で思うように動けることが普通と感じている人には、その鹿野の訴えはわかりにくいところにはなりますが、視点を変えて鹿野の立場を思うと、想像を絶する不自由さであるのを想定できると思います。

・鹿野自身も言っていますが、「生きることに必死」ということです。

・この発言後、徐々に鹿野の目線で本作を観ることに気づかされますが、まさしく不安と恐怖の中で生き延びているということがわかります。

・呼吸困難にもなり入院ともなりますが、鹿野の主張「自宅で生活したい」というのもわかります。

・鹿野と美咲、田中くんの関係性も描かれますが、この部分も、奥底には、鹿野の必死に生きているということが作用して、それぞれが何かに挑戦をし始めます。

・普段、なんの障害もなく生きていられるのが普通と思っていると、惰性や堕落が起きてしまいますが、この鹿野の状況を考えると、何か考えを改めるような気持ちが芽生えるのかもしれません。

・また、介護問題について、排泄などの要素も盛り込まれていながらも、社会問題となっている視点を小難しくなく、サラッと描いているところも秀逸です。

・本作は実話でもあり、「自分は何ができるのか?」ということを、説教という視点ではなく、その状況を理解してもらうことで、心に刻み込みやすい展開と演出がされています。

・主人公鹿野を演じた大泉洋の演技とキャラクターにもよりますが、この映画を見終わる頃には、この鹿野という人物の印象は観る前と大きく変わるところがあります。

・難病物のストーリーを軽快に、重苦しい印象なく、観ている側にしっかりとメッセージを残しているところには、何かに挫折してしまった人には観てもらいたいところがあります。

・常にこの状況を想像しながら生活してほしいというわけではありませんが、思っている以上に自分自身はなにかを行うことを諦めている言い訳を作っていることに気づかされるような内容でもあります。

・重々しい物語ではないところに、まずは軽い気持ちで観てもらいたい作品となります。

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

 

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: Prime Video
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 (文春文庫)

 

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 (文春文庫)

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: 文庫

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