【監督】ドゥニ・ヴィルヌーヴ
【出演】ライアン・ゴズリング/ハリソン・フォード/アナ・デ・アルマス/シルヴィア・フークス
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】2049年、世界的な異常気象により地球では様々な問題が起こっていた。旧型のレプリカントを「解任(抹殺)」するたにネクサス9型のレプリカントであるKは、ブレードランナーとして、解任の職務を遂行する。そんな中とあるレプリカントの庭から約30年前に死亡した遺骨が見つかりその女性型レプリカントは出産した形跡があることがわかる。
初代制作時にここまでの世界観を構築できていたと考えるのであれば、とんでもなく仕組まれた作品
・SF映画の金字塔「ブレードランナー」の35年ぶりの続編。
・初代「ブレードランナー」が偉大すぎて、続編に不安も覚えましたが、実際にはこちらも名作。
・とにかく、初代を語ると長くなりますが、まずは、解釈が多数取られる前作の一つの回答とさらに続くかもしれない命題の定義が素晴らしい。
・初代は、公開後多数のバージョンが用意され、もっとも監督の目指す作品が「ディレクターズカット版」である。当然今作を見るには、「ディレクターズカット版」は見ておいて損はない。
・余計な説明を廃し、状況だけで説明する難解な作品ですが、この難解さが未だにファンを魅了する秘密です。
・ユニコーンの意味合いとデッカードの謎とレプリカントの哲学。この要素を非常に巧妙な演出で描き切った作品は、1982年の公開時から議論の中心だったと思う。
・今作は主人公「K」自体がレプリカント。ここは良い。
・むしろ、「デッカードとレイチェルが何故?」という前作の謎を巧妙に回収する。
・まさに35年にして伏線を回収する脚本と、さらに解き明かさない謎で観るものを引きつける要素がある。
・「K」とともに35年に渡る謎を捜査する前半と、さらに命題を残す後半。この展開にファンならずとも、興味が湧いて当然です。
・色々と不可解な点はありますが、これは前日譚の「ブレードランナー ブラックアウト2022」「2036: ネクサス・ドーン」「2048: ノーウェア・トゥ・ラン」を観ることである程度モヤモヤを解消できます。
・少なくとも「大停電」を理解しておくことが、本作の全容を理解するススメとなります。
・本作は、続編を匂わせる要素もありますが、実際に自作があった場合は、また新たなブレードランナーとしてリビルドされるであろう設定が山盛りです。
・そのくらいに、この近未来の設定とレプリカントというアイデアが奥深い哲学のようなものに昇華されている所以であります。
・極論、初代の「バッティ」の語る理念がつきまとい、人間とは、レプリカントとは、という理念が渦巻きます。
・このあたりが、金字塔なるゆえんであり、答えのない問いかけに、様々な解釈が生まれたのだと思います。
・アクション映画のようで、実際には、全く別世界の理念の置き方を問いかけるそんな映画です。
・完全な回答は存在しているのだと思いますが、あえて明言をしないところにこの映画の魅力があります。
・次回作にデッカードが出るのかは謎ですが、初代制作時にここまでの世界観を構築できていたと考えるのであれば、とんでもなく仕組まれた作品であることはいうまでもありません。