【洋画】「恋人までの距離(ディスタンス)(2025)」★★★★☆

作品紹介

【監督】リチャード・リンクレイター
【出演】イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー/
【個人的評価】★★★★☆

【あらすじ】主人公 ジェシーとセリーヌは、長距離列車の中で意気投合し、ウィーンで途中下車をして、一晩町中を歩き、語り合う。

監督:リチャード・リンクレイター, プロデュース:アン・ウォーカー=マクベイ, Writer:リチャード・リンクレイター, Writer:キム・クリザン, 出演:イーサン・ホーク, 出演:ジュリー・デルピー, 出演:アンドレア・エッカート, 出演:ハンノ・ペシュル, 出演:エルニ・マンゴールド, 出演:ドミニク・カステル
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異性と会話をして心がざわつく感じを描いている点は、非常に秀逸

リチャード・リンクレイター監督は、1988年「It’s Impossible to Learn to Plow by Reading Books」で監督デビューをし、1995年「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」でミニシアター系の映画で人気となります。その後、2001年「ウェイキング・ライフ」で実写をデジタルペインティングした作品を制作し、2003年「スクール・オブ・ロック」では、ミュージカル・コメディの傑作として評価されています。2004年「ビフォア・サンセット」、2013年「ビフォア・ミッドナイト」と、恋人までの距離のシリーズとして続編も好評となり、非常に多彩な作風で器用な監督です。2014年『6才のボクが、大人になるまで。』では、ベルリン国際映画祭 監督賞、第72回ゴールデングローブ賞 監督賞をはじめとして多くの賞を受賞しており、ファンの多い監督です。

イーサン・ホークは、1985年『エクスプロラーズ』で映画デビューをしますが、学業を優先し、俳優業を一時休業し、1989年「いまを生きる」で再度俳優業に復帰しています。『リアリティ・バイツ』『恋人までの距離』『ガタカ』など印象的な役をこなし評判を得ています。ブロードウェイの舞台のデビューや小説家としても活躍し、2001年「チェルシーホテル」で映画監督デビューをしています。アクション俳優というわけではないのですが、意外と枯れた感じがよい役者となってきています。

ジュリー・デルピーは、1978年「Guerres civiles en France」で両親が出演した映画で映画デビューをしています。1985年『ゴダールの探偵』で長編映画デビューをし、その後、1986年「汚れた血」でセザール賞の有望若手女優賞にノミネートしています。1995年『恋人までの距離』で後に3部作となる作品に出演、以降フランスからアメリカに渡り、映画制作をニューヨーク大学で学んだあとに、アメリカの市民権も得ています。2002年『Looking for Jimmy』で監督業も行っています。2013年『ビフォア・ミッドナイト』で、ロサンゼルス映画批評家協会賞脚本賞や全米映画批評家協会賞脚本賞など多数の脚本賞を受賞しています。

物語は、パリに向かう長距離列車の中で出会った2人が、ウィーンで下車をし、そこで一晩のウィーン旅行をしながらも、2人の心の揺れ動きを描いたストーリーです。

序盤から列車の中で夫婦が言い争いを始めてしまい、その近くに座っていたジェシーとセリーヌがその騒動に共感し、そこから2人の意思疎通が始まります。

食堂車に移り、お互いのことを会話していきますが、アメリカ人の男性とフランス人の女性とで、お互い英語で会話をしていきます。

本作はほぼ2人の会話だけで展開をしていき、内容自体は非常にシンプルでもあります。

2人の間を阻むようなキャラクターが登場するわけでもなく、延々と会話で2人の距離が近寄っていく展開です。

本作は続編も制作される程の評価もされており、2人の9年後を描いた「ビフォア・サンセット」、さらに9年後を描いた「ビフォア・ミッドナイト」が制作されています。さらに9年後の物語が描かれることはありませんでしたが、リアルタイムに近い時間の経過で続編を作られているのはすごいところです。

3作品の最初の作品でもあり、2人の出会いが描かれている点では、ただの会話劇ながらも非常に引き込んでいく魅力があります。

「これは未来から現在へのタイムトラベル」

多分、非常に脚本の内容が多い作品かと思われ、セリフは非常に多く、それが2人の会話だけで成り立っているところも、画期的なところかもしれません。

2026年現在から振り返ると、坂元裕二脚本や、今泉力哉脚本にも通じるところがあり、そこにイーサン・ホークとジュリー・デルピーの美男美女の2人のラブストーリーということになると、内容自体は充分に魅力的なところにもなります。

2人の出会いと会話からの心の通わせ方をみるところに、本作の非常に見応えある要素が詰まっています。

序盤から、お互いが好意を寄せているのがわかりながらも、少しずつお互いを探り合いながら、言葉で相手の想いを手繰り寄せているところは、下手なラブストーリーよりもリアリティがあります。

また、長回しの演出が多く、アドリブすらあるのかと思う作品ですが、むしろそのリアリティが本作の圧倒的な魅力です。

ウィーンの街を一日歩き回るなか、まずはレコード屋で音楽を試聴をするところも、狭い部屋で2人が曲を聴いているところで、会話はなくとも、お互いを見たり目を背けたりというところが、関係の絶妙なところを描いているわけです。

その後、墓地を通ったり、観覧車に乗ったりとしながらも、会話は場所を問わず、気持ちを通わせていきます。

「私にキスしたいの?」

ここまででまだ序盤ですが、この時点ですでに2人の気持ちは確定しており、その後も会話が続きますが、会話で成り立つラブストーリーはこのあとも続いていきます。

延々と駄話で成り立っているような感じではありますが、「会話劇」「長回し」「場所とは関連が薄い会話」というところで不思議な要素しか残らない演出でもあります。

ジュリー・デルピーがキュートなところも本作の魅力であり、幸薄そうな顔ではありますが、むしろ、本作ではその佇まいがリアルさを感じます。また、ジュリー・デルピーの魅力は奇跡的な髪質にも思え、ブロンドの髪ではありながらも、下品でも上品でもなく、絶妙なゆるふわな雰囲気を演出しているところは、他の女優でも真似できない天然の産物のようにも思えます。

さらに街を歩き、夜になり、教会での会話から、バーに行きミュージシャンの曲を聞いたりと、場面は変わります。

「恋人はいるの?」

「いままで避けてきた話題なのに」

バーでピンボールをしながらの会話ですが、やはり場面と会話は特に関係性があるわけではなく、「たまたまその場所で会話になった」というのがポイントです。

さらに夜道を歩き、レストランで食事をし、バーで赤ワインを手に入れ、芝生に寝転がり、ワインを飲む。

イーサン・ホークも観ていれば、なんとなく賀来賢人的な感じもあり、妙な目力があります。

「これ以上はダメよ」

本作の魅力はまた、会話だけが延々と続くところがあり、肉体関係を匂わす会話はあるものの、一線を超えたのかどうかは明確にはなっていませんが、セリーヌの服を見ればわかります。続編で、詳細は語られますし、演出的にはある程度わかるような感じですが、本作はその関係が重要な内容でもないです。

最後の別れのシーンも、ケータイ電話やメールがない時代だからこその別れ難さがあるのかと思います。

2人だけで延々会話をする物語ではありますが、異性と会話をして心がざわつく感じを描いている点は、非常に秀逸です。

予告編

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