作品紹介
【監督】横尾初喜
【出演】長尾謙杜/當真あみ/水沢林太郎/芋生悠/池田良/田村健太郎/篠原ゆき子/安藤玉恵/美村里江/安田顕/ディーン・フジオカ/
【個人的評価】★★☆☆☆
【あらすじ】主人公 心也は幼い頃に母親を亡くした高校生。ある日、学級新聞の編集委員として、家に居場所のない夕花とともに担当をするが、次第に打ち解け、「ひま部」というクラブを結成する。

横尾初喜監督の演出が気になるところ
横尾初喜監督は、映像の仕事に関わり、2008年に独立、2017年「ゆらり」で映画監督デビューをし、本作が2作目となります。なお、2015年「田沼旅館の奇跡」で知り合った遠藤久美子と結婚しています。
長尾謙杜は、2014年にジャニーズ事務所に入所し、その後、2021年なにわ男子のメンバーとしてデビューをしています。2017年「関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!」で映画デビューをし、2022年「HOMESTAY」で映画初主演をしています。
當真あみは、2020年にスカウトされ芸能界デビューをしています。2022年1月『妻、小学生になる。』でドラマ初出演をしています。2022年「いつも難しそうな本ばかり読んでる日高君」で映画デビューもしており、「かがみの孤城」では声優もしています。
本作は、2020年に森沢明夫が発表した小説「おいしくて泣くとき」が原作となっています。
物語は、母親を亡くした男子生徒と自宅に居場所のない女子生徒が、学級新聞の編集を通じて仲良くなり、「ひま部」を結成するが、ある事件をきっかけに女子生徒が姿を消してしまう。30年後、彼女には秘密があったことがわかっていくストーリーです。
序盤から、MINAMIという子ども食堂でお店をやっている風間心也が描かれ、そこで無免許運転のドライバーが店に追突して事故になります。
その店は父親の代から食堂をしている店で、心也は学生の頃を思い出していきます。
新井夕花という同級生のことを思い出し、彼女が「子ども食堂」で姉弟と食事に来ており、夕花自体に事情があるような感じが描かれます。
心也と夕花は学級新聞の編集委員に選ばれ、学級新聞を作ることになりますが、お互い部活をしていないところがあり、そのことで「ひま部」という部活をするようになります。
心也は子ども食堂をしていることで、学校内でいじめの対象となり、夕花も家庭の複雑な事情で家に居づらい状況がわかります。
心也の父親は安田顕が演じていますが、貫禄というところもあり、しっかりと物語を締めてくれている感じもあります。
「人の幸せってのは、学歴や収入で決まるんじゃなくて、自分の意志で判断しながら生きているかどうか」
観ていると夕花自体は境遇の悪さはありますが、心也はある程度恵まれているところもあり、わがままな感じもします。
観ていて思うのは、子ども食堂を運営していることが偽善と表現されていたりしますが、心也と夕花を含む世界の価値観がどうも短絡的すぎるようにも思われます。
誤解を受けてしまう表現をすれば、一定の方向からの視点で環境が語られているように思われ、偏りがある物語にも感じます。
物語的には心也の視点で描かれているところもあり、心也自身は何かと状況的に安全なところで行動している点がモヤモヤします。
素直に物語を観れば良い作品ではありますが、周囲の登場人物の視点からみると、多少主人公だけに都合の良い物語に見えてしまいます。
中盤以降は、心也と夕花の逃避行となりますが、心也以外の視点から考えると、やはり稚拙な印象は拭えない気もします。「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」の主人公 典道感があります。
過去と未来をつなぐ流れがかなり省かれているので、どういう経緯で建築家として成功でき、心也の家族がどのように変わっていったのかの説明がわからない点はかなりご都合的な物語展開となっており、ちょっとモヤモヤします。
母親の名前がわからない娘という点もかなり説明不足なんじゃないか?とは思いますが、本作はあくまで創作でもあるので、細かいことを気にしてはいけません。
心也の視点のみで語られている物語なので、細かいことを気にしない人には良いかもしれません。
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