作品紹介
【監督】ジョナサン・デミ
【出演】アン・ハサウェイ/ローズマリー・デウィット/ビル・アーウィン/デブラ・ウィンガー /トゥンデ・アデビンペ/アンナ・ディーヴァー・スミス/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 キムは、薬物治療のために10年間リハビリ施設にいたが、姉のレイチェルが結婚をすることで、実家に戻って来る。

ファミリームービー感を出していながらも、しっかりと映画の演出として描かれている点
ジョナサン・デミ監督は、ロジャー・コーマン監督の下で映画の仕事に関わり、1974年『女刑務所/白昼の暴動』で映画監督デビューをしています。1991年『羊たちの沈黙』でベルリン国際映画祭監督賞とアカデミー監督賞をダブル受賞をしています。その後、1994年『フィラデルフィア』でも高い評価を得ています。2017年に他界していますが、作品の完成度の高い作品が多く、良作の多い監督です。
アン・ハサウェイは、ニューヨーク ブルックリン生まれで、1999年にTVドラマでデビューしています。2001年「プリティプリンセス」で 映画主演を務め、のちに多数の作品に出演し活躍している女優です。2012年のミュージカル 映画「レ・ミゼラブル」で、大幅な減量に加えて髪を短く切り落とした渾身の役作りと見事な歌唱力でアカデミー助演女優賞を受賞しています。2012年に俳優のアダム・シュルマンと結婚しています。
物語は、姉が結婚をすることで、薬物更生施設から一時出所した主人公が、姉の結婚を通じて、家族の関係が浮き彫りとなってくるストーリーです。
序盤から、タイトルクレジットでウェディングソングがかかりながら始まります。主人公 キムはタバコを吸っているシーンからはじまり、状況がいまいちわからないのですが、徐々にその場所がわかり始めます。
車が来て、父親が迎えに来ますが、キムは更生施設から外出をして自宅に戻るということになります。9ヶ月間、更生施設にいたことになり、その更生施設は麻薬中毒の更生場所というのもわかります。
キム自体が主人公ですが、なにか問題を抱えてることで、更生施設に入らなければならなかったことになります。その理由は徐々に判明してきますが、まずは、キム自身が色々と考えが一般的な人とは折り合わないようなところがわかります。
折り合わないというか、自分本意な性格なところがあり、このキャラクター性と姉や家族の関係が本作で描かれている点となります。
アン・ハサウェイの印象も、お姫様的なキャラクターではなく、どこか蓮っ葉な感じがあり、更生施設にいかなければならないような感じがあります。
家族との関わり合いが描かれる中、演出的には他愛のない会話が綴られつつも、どこか核心に迫るような絶妙な演出がされています。
キムは、麻薬中毒の更生施設より出所してきており、姉のレイチェルの結婚式のために自宅に戻ってきています。
中盤、食洗機に食器を片付ける勝負をしますが、このなんとも言えない意味の内容なシーンの積み重ねが、ファミリーの関係を描いており、他愛のないところに物語のフォーカスをおいているところが本作のわかりにくい魅力です。
キム自体には過去に車の事故の際に、甥を助けられなかったことがトラウマとなっているところもあり、そのことが彼女の遺恨となっています。
前半は招かれざる客として描かれていたところはありますが、後半は、そのキムの心境に迫っていくようなところがあります。
「戻ってくれて良かった」
前半ではわかりにくかったキムの居心地ですが、後半で、過去に起こった事件が吐露されていき、家族も目を背けてきたことに向かい合うような展開となってきます。
結局、主人公はキムではあるのですが、感情移入をする作品というよりも、彼女自身がどうしようもなく抱えてしまっている問題を家族が再度見直すことで、新たな気づきや誤解や思い違いもあったこともあり、うまく言葉には言い表しにくい展開となってきます。
ファミリーでのお祝いを描いた物語の中に、その関係性とそれぞれが抱えている問題を少しずつ浮き彫りとさせており、ハンディカメラでの撮影で、ファミリームービー感を出していながらも、しっかりと映画の演出として描かれている点は、非常に良作とも言えます。
予告編
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