作品紹介
【監督】ダニー・ボイル
【脚本】アレックス・ガーランド
【出演】キリアン・マーフィ/ナオミ・ハリス/クリストファー・エクルストン/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 ジムは昏睡状態から目覚め、ロンドンの街が明らかに変貌していることに気がつく。28日前に1滴の血液だけで感染してしまう新種のウィルスが発生したのだった。

結局恐ろしいのは人間自身なんじゃないかと
ダニー・ボイル監督は、イギリスの映画監督で、大学卒業後、演出家としてキャリアを積み、1994年『シャロウ・グレイブ』で映画監督デビューをし、1996年『トレインスポッティング』のヒットで広く知られるようになり、1997年『普通じゃない』では、ハリウッドに進出、2008年『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー監督賞、作品賞を含む、8部門を受賞しています。
アレックス・ガーランドは、2000年「ザ・ビーチ」で原作を手掛け、その後、ダニー・ボイル監督作品の脚本を手掛けています。2015年「エクス・マキナ」で監督デビューをし、アカデミー脚本賞にノミネートもされています。シナリオが独特な監督です。
キリアン・マーフィは、イギリスの俳優で、1997年「Quando」で俳優デビューをしています。その後、2002年「28日後…」で主役に抜擢され、有名になります。2005年「バットマン ビギンズ」以降度々クリストファー・ノーラン監督作品に出演をし、2023年「オッペンハイマー」では、主役を演じています。
物語は、新種のウイルスが発生したイギリスで、ゾンビのように変貌してしまった人間たちから生き延びていく姿を描いたストーリーです。
序盤から、とある研究所で実験をしている状況が描かれ、そこで開放されたチンパンジからとあるウィルスがばらまかれてしまう事件が起こります。
そこから、28日が経過し、病院で目覚めたジムが、誰もいなくなったロンドンで衝撃的な状況で街中をさまよい歩きます。
映画ではありますが、ロンドンの街に誰もいない光景を描いていく流れはかなり撮影が難しかったと思われ、この光景を描いているところの時点でとてもすごいことをしている印象があります。
変貌してしまった人間自体はよくあるゾンビ映画的でもあり、血液1滴だけで感染してしまうところはかなり恐怖感はあります。新型コロナウィルス以上に感染力が強いことを考えると、なかなか隔離自体も難しい印象があります。
生き延びていくことがとても難しいところを描きつつも、生き残りの人間も何人か登場し、協力者やなにか事情のある兵士などが登場してきます。
中盤で、仲間がウィルスに感染してしまいますが、この状況はすでに伏線で「感染したら、ためらわずに殺せ」という流れもあり、非常にショックを受けてしまうところはあります。
助けをなかなか得られないさなかで、軍隊の組織に匿われることで、一時期の平穏がありますが、そこにいる軍隊の感覚と普通の感覚とではちょっと異なるところでもあり、世紀末的なところを感じます。
結局恐ろしいのは人間自身なんじゃないかと錯覚し始めますが、この平穏さもどこか気味の悪いところでもあり、恐怖感があります。
「誰も殺さずに生きるは不可能だろう」
本作はただのゾンビホラー作品ではなく、ゾンビのように変貌した人間との対立のなかで、生き残った人間の間でのさらなる生き残りと最も怖いのが人間自身ということをメッセージとして描いているようなところもあります。
ダニー・ボイル監督の演出と映像表現がとても良く、人間が凶暴化する世界をうまく表現しているところもあり、とても見ごたえのある作品でもあります。
続編も制作されていますが、本作の完成度の高さから、続編も作られたことは非常によくわかる作品です。
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