作品紹介
【監督】トッド・フィリップス
【出演】ホアキン・フェニックス/レディー・ガガ/ブレンダン・グリーソン/キャサリン・キーナー/ザジー・ビーツ/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 ジョーカーは、社会への代弁者として祭り上げられた人物。ある日、謎めいた女性 リーと出会い、ジョーカーの狂気が伝播していく。

脇役だからこそ魅力のあるキャラクターだったのかも
トッド・フィリップス監督は、学生時代から映画を撮り始め、ドキュメンタリー映画『全身ハードコア GGアリン』が初監督作品となります。以降、コンスタントに作品を撮り、2018年には「アリー/スター誕生」を制作しています。
ホアキン・フェニックスは、子役として活躍をし、昔はリーフ・フェニックスの芸名でしたが、15歳ごろから現在の本名に改名し、以降「グラディエーター」「ザ・マスター」に出演しています。リヴァー・フェニックスは実の兄ですが、1993年、ホアキンが19歳の時にオーバードーズで他界しています。
レディー・ガガは、2008年のファーストアルバム「ザ・フェイム」のヒットで一躍有名となり、奇抜なファッションとパフォーマンスで人気のあるミュージシャンです。
タイトルの「Folie à Deux」(フォリ・ア・ドゥ)はフランス語で「二人狂い」という意味で、一人の妄想がもう一人に感染し、複数人で同じ妄想を共有する精神障害のこと。
物語は、前作からの引き続きの作品で、主人公が狂気のカリスマとなり、さまざまな人に影響を与え、ある日出会った女性と共に世界を揺るがす事件へと発展していくストーリーです。
序盤からアニメーションでジョーカーの行いが描かれ、そこから前作の続きとして刑務所にいるアーサーが描かれます。
前作で行ったことで警察に捕まり、囚人として過ごしているアーサーはいまだに取り調べや鑑定が行われ、鬱屈した日々を過ごしていますが、不自由しているというよりもなにか殻に閉じこもったままでの日々を過ごしています。
閉鎖病棟に収容されているために不自由な生活をしていますが、そこでハーレイ・“リー”・クインゼルと出会い、徐々に親密になっていきます。
本作はちょっとミュージカル要素もあり、要所要所で歌とダンスを踊るシーンがでてきます。これは前作のジョーカー
と同様にアーサー自体の人格の二面性を描いているところが強く、アクション作品ではなく、ドラマとしてジョーカーを描いています。
今回は、ハーレイが登場することで、アーサーの心の拠り所にもなりますが、ハーレイにもジョーカーに求めているところはあります。なお、後にハーレイ・クインとなるであろうキャラクターであり、本作の成功の際にはハーレイ・クインの作品を作ってもおかしくないのかもしれません。
ハーレイはレディ・ガガが演じており、意外にも演技力がありますが、すでにレディ・ガガ自体は多数の作品に出演しているだけあって、場馴れしているという意味合いにも見えます。
全体的にはハーレイとアーサーの妄想で積み上げられたシーンと現実と混ざった構成で物語が描かれていき、ジョーカーの狂気を紐解いていく流れです。
「ジョーカー」では、狂気が臨界していく様が、徐々にエスカレートして、爆発するような流れですが、本作はその後始末というところもあり、これがおもしろいかどうかはかなり賛否があるように思います。
「ジョーカー」での階段で踊るシーンは印象的ではありますが、結局、ジョーカーの人気と前作のヒットの要因はなんだったのかを考えてしまいます。振り返ると、前作では名作「キングオブコメディ」をモチーフとしたような作品でもあり、見応えがあったのですが、本作はどちらかといえば、ファンサービスムービーと捉えることもできます。
ジョーカー自体は「ジャック・ニコルソン」「ヒース・レジャー」「ジャレッド・レト」「ホアキン・フェニックス」などが演じており、意外にも、全員がアカデミー賞(主演男優賞、助演男優賞)受賞者となっています。それだけ強烈なキャラクターと言えますが、やはり主役ではなく、脇役だからこそ魅力のあるキャラクターだったのかもしれません。
ホアキン・フェニックスの演技は圧倒的でもあり、ラストシーンのワンカットもかなりエグいくらいなのですが、どうもジョーカーというキャラクターの存在位置が気になってしまい、主役でフィーチャーすべきではなかったような気もします。
予告編
関連商品




