作品紹介
【監督】三谷幸喜
【出演】長澤まさみ/西島秀俊/松坂桃李/瀬戸康史/遠藤憲一/小林隆/坂東彌十郎/戸塚純貴/阿南健治/梶原善/宮澤エマ/
【あらすじ】著名な詩人 寒川の妻であるスオミが行方不明となる。刑事の草野はスオミの元夫で、捜査を勧めるが、大ごとにしないようスオミを探し始める。

三谷幸喜作品的には、もうちょっと味付けが足りなかった気も
三谷幸喜監督は、大学在学中に「東京サンシャインボーイズ」という劇団を旗揚げする。劇団と並行して、放送作家としても活躍し、1989年『やっぱり猫が好き』での脚本を手掛けるようになり、1993年「振り返れば奴がいる」で連続ドラマの脚本を担当する。その後「王様のレストラン」などのドラマを手掛け、1997年「ラヂオの時間」で映画監督デビューをしています。NHK大河ドラマでも「新選組!」「真田丸」の脚本を担当し、2022年「鎌倉殿の13人」でも脚本が決まっています。
長澤まさみは、東宝「シンデレラ」オーディションで史上最年少の12歳でグランプリを獲得し、その後、映画『クロスファイア』で映画デビューしています。ティーン雑誌『ピチレモン』の専属モデルとしても活躍し、2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロイン役としても話題となり、多彩な演技で注目されている女優です。
西島秀俊は、19歳の時にオーディションに合格し、芸能界入りをしています。1992年『はぐれ刑事純情派5』で俳優デビューをし、1994年『居酒屋ゆうれい』で映画初出演をしています。『あすなろ白書』等で人気はありましたが、事務所を移籍したために、1997年から2002年の5年間は民放のドラマには出演していません。その後、1999年『ニンゲン合格』で映画初主演をしており、第9回日本映画プロフェッショナル大賞・主演男優賞を受賞しています。その後、シリアスなものから、コミカルなものまで幅広作品で活躍しています。
三谷幸喜監督作品9作目となり、2019年「記憶にございません!」から5年ぶりの作品となります。
物語は、著名な詩人の妻 スオミが失踪し、そのことで、スオミの関係者が集まるが、集まった男たちからは、それぞれ違うスオミの一面が語られ、彼女とその関係する男性を中心に描かれていくストーリーです。
序盤から、ミニバンが豪邸につくところから描かれ、2人の男が家に入りますが、この2人はとある事件に協力するために来たことがわかります。
事件とは、豪邸の主人の妻 スオミが失踪したことで、そのための調査となります。
いなくなった女性 スオミのことを調べているうちに彼女には数々の顔が語られ、本当のスオミがどういう人物なのかが本人不在で語られていきます。
徐々に登場人物が増えていく流れなので、ゆっくりとわかりやすいところは三谷幸喜監督作品らしさがあり、語り口はうまいです。
問題は、それぞれのキャラクターが感じるスオミの人物像が見えにくいところがあり、ここに面白さを感じるかどうかで感想が変わってくるところはあります。
三谷幸喜作品の多くは、舞台で公演したほうが面白い作品が多く、本作でも、やっていることは舞台の演出に近いところはあります。
舞台ではなく映画で公開しているとことは、単純に集客の問題ではあり、広く多くの人に鑑賞してもらうには、映画が最適だったのかと思います。
遠藤憲一、松坂桃李、小林隆、西島秀俊、坂東彌十郎とそれぞれがスオミの元夫という設定でもあり、その設定が面白いのですが、総じて男性陣のパンチがイマイチで、もうちょっとキレ者がいても良かったのかもしれません。
終盤、スオミはしっかりと登場しますが、それぞれのスオミに切り替えながら5人から受け答えをするシーンは、長澤まさみの演技の凄さを感じます。
結局、長澤まなみのための、長澤まなみによる、長澤まなみの映画というところでもあり、長澤まなみファンには良いのかもしれませんが、三谷幸喜作品的には、もうちょっと味付けが足りなかった気もします。
舞台で演出したほうがよかったかもしれませんが、ミュージカル的な要素は、映画の演出で成り立つところもあり、いつもながら、ちょっとオールディなアメリカ映画を好む人には良いかなぁと思うところです。
予告編
関連商品


