【日本映画】「風に濡れた女〔2016〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/テイ龍進
【個人的評価】

【あらすじ】田舎の山小屋でひっそりと暮らす主人公 高介。ある日海辺で自転車で海に落ちた 汐里にである。そのことがきっかけで汐里との間で巻き起こる不思議な欲望に駆られる。

これだけ破綻しているとなんかもう許せてしまう。そんな作品

塩田明彦監督は、学生時代より自主映画を制作しており、黒沢清監督の助監督として参加後、初長編映画『月光の囁き』をはじめ、個性的な作品を作り出している監督です。

間宮夕貴は、グラビアアイドルとして活躍後、女優として活躍していましたが2018年に芸能事務所を退所し、現在は桝田幸希という芸名で活動をしています。

「日活ロマンポルノ」の45周年を記念して、複数の著名映画監督が新作を作成した「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の第1作

第69回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門にロマンポルノ作品として初の正式出品

正直いろいろとツッコミどころが多く、どこからツッコんでいいのかわからないくらいですが、中盤まではなんとなくそれなりのドラマ感で話が進みます。

劇団員が登場するあたりから、なんとなくこの映画の不思議さが出てきます。

嫉妬と羨望と確執と愛情。これらが入り交じるなんとも言えないモヤモヤ感で終盤まで進み、最終的に感情が爆発するような戦いに繋がります。

終盤の高介と汐里の戦いが秀逸で、急にカメラワークと音楽にテンションが上がります。荒野での2人の対決から始まる不条理感が壊れている感じがあり、個人的にツボです。

劇団員が中盤に出てきた理由も、なんとなく、「コレは演劇なんです」という布石にすら思えます。

当然、絡みのシーンまで引っ張るわけですが、これも過剰にエスカレートし、小屋の倒壊や火薬を使った爆破など、破綻に満ちた演出で衝撃を受けます。あと、終盤でマネジャーのシーンもしっかり用意されていたりするところは、破綻している中、決して要点を抑えているところに確信犯なところがあります。

「日活ロマンポルノ」と言われると、ちょっと違う、いや、かなり違うのですが、これだけ破綻しているとなんかもう許せてしまう。そんな作品です。

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