【日本映画】「楽園〔2019〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】/杉咲花//石橋静河/
【個人的評価】

【あらすじ】ある夏の日に少女誘拐事件が起こる。その事件は解決されないまま12年が過ぎ、再び少女が行方不明となる。

楽園

社会やコミュニティという状況で普段目にすることない状況を考えるには良い作品

・瀬々敬久監督は、学生時代に自主映画制作を行い、ポルノ映画を制作をしながらも近年では話題作を制作するようになり、意欲的に映画制作を行なっている監督です。

・綾野剛は、「仮面ライダー555」で役者デビューをし、中野裕之監督の「全速力海岸」で主演にもなります。

・杉咲花は、子役として芸能界に入り、一時期芸能界を離れるが、中学生になり再び女優を目指、2011年「ドン★キホーテ」でドラマ初出演をし、以降ドラマや映画に出演しています。

・個人的には非常に表現力がある素晴らしい女優かと思います。

・物語は、12年前に起こった少女誘拐事件により、その被害者の知人や疑われし者が背負っていく業のストーリーとなります。

・原作の「犯罪小説集」から「青田Y字路」と「万屋善次郎」の2作品を抜粋した映画となっていますが、犯罪自体を描く目的ではないように思います。

・本作は、犯罪を犯してしまった者の経緯と状況、その環境に追い込んでしまった周囲、その後の生きていく術が取り上げられています。

・そのため、多くは「村八分」のような圧力のように見える点があります。

・疎外されてしまった者に見える風景と、その状況、排除される側と排除しようとする側のお互いの正義のようなものが描かれます。

・特に、店に逃げ込み、挙げ句、自身で焼身自殺をする行為には、追い詰められるとはどういうことかを考えてしまいます。

・限界集落に住む善次郎の苦悩と、そこでの人間関係の複雑な点。

・同調圧力の生み出す閉鎖された地域の問題を浮き彫りにしたような作品でもあり、本作の題名「楽園」とはどういうことなのかを考えてしまいます。

・これは日本という国における地域社会と捉えることもできますが、実際には日本という国そのものが抱える病症と見ても良いのかもしれません。

・2本の物語を1本の映画にまとめているというところでは、登場人物の中心イメージがずれるところがあります。

・本作は、単一の登場人物が主役となる構成ではなく、群像劇のような構成の中に、人物がおり、その大枠を「地域社会に暮らす人々の風景」という要素でまとめているようにも見えます。

・社会問題としての結論も、映画としての結論も出てくることはなく、鑑賞することで沸き起こる感情が本作の答えでもあるかと思います。

・展開としてはダウナーな展開で構成されているところもあり、気軽な気持ちで観るのはおすすめしません。

・社会やコミュニティという状況で普段目にすることない状況を考えるには良い作品かと思います。

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