作品紹介
【監督】橋口亮輔
【出演】江口のりこ/内田慈/古川琴音/青山フォール勝ち/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 弥生は、親孝行で母親を温泉旅行に三姉妹とともに出かける。「母親みたいな人生を送りたくない」と思う三姉妹は徐々に関係がこじれていく。

本作は役者は違えど「やっぱり猫がすき」と同じ仕組みにも見え
橋口亮輔監督は、学生時代より映画を制作し、ぴあフィルムフェスティバルで高い評価を得たあと、1993年「二十才の微熱」で商業映画監督としてデビューしています。1005年「渚のシンドバッド」でロッテルダム国際映画祭でグランプリを受賞し、高い評価を得ています。寡作なところがありますが、いずれも内容の良い作品の多い監督です。
江口のりこは、映画女優を目指し、劇団東京乾電池の研究生となっています。その後、2002年『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』で映画デビューをしています。テレビや映画に幅広く活躍している女優です。
古川琴音は、満島ひかりに憧れて俳優となり、2018年「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」で映画初出演をしています。2021年『偶然と想像』で評価をされ、テレビや映画、など幅広い活躍をしており、今後がきになる女優です。
橋口亮輔監督の9年ぶりの監督作品であり、ペヤンヌマキ主宰の演劇ユニット「ブス会」の舞台を脚色して映画化となっています。
物語は、親孝行のために母親と温泉旅行に来た三姉妹がそれぞれの想いが交錯し、関係がこじれていくストーリーです。
序盤から、かけながし温泉の岩園館にやってくる三姉妹が描かれます。温泉宿への送迎車が動かなくなり、3人で押すことになりますが、力仕事となってしまうことで3人が多少揉めながらも、渋々車を押すことになります。
本作は、この温泉宿での物語となり、登場人物もこの3姉妹を中心とした展開となっています。
三人の姉妹の会話と揉め事のみでほとんど展開していきますが、江口のりこが意外と良い立ち回りと憎まれ役をやっているところで、揉め事が延々続く展開ですが、あまりイライラはせずサクサク観られます。
三姉妹と婚約者が登場するくらいで、ほとんど会話劇で、お母さん自体もほとんど登場しません。この登場しないところが良く、なんとなく、テレビドラマ「やっぱり猫がすき」を彷彿させる感じもします。
むしろ、本作は役者は違えど「やっぱり猫がすき」と同じ仕組みにも見え、そこに、橋口亮輔監督の卓越した演出とストーリー展開が楽しめます。
非常に地味な作品で、中身がない作品とも言えますが、この中身の無さがむしろ清々しく、中身がない物語ではありますが、見応えはあります。
鑑賞するのに気合を入れて観る必要もなく、サクッと気軽に観てしまえる良作です。
予告編
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