【監督】前田哲
【出演】広瀬すず／大西利空／高良健吾／戸塚純貴／當真あみ／勝村政信／北村有起哉／坂井真紀／生瀬勝久／
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 直達は高校への通学のために、おじの家に居候をする。紹介されたのはとあるシェアハウスであり、そこの人たちとなにか問題を抱えているような榊千紗との関わりを描いた物語。
ちょっと心残りのあるようなところがありますが、むしろスッキリしそうででもなにかしこりを残してくれるような作品
前田哲監督は、フリーの助監督として多数の作品に参加、1998年オムニバス映画『ポッキー坂恋物語』で監督デビューしています。
広瀬すずは、姉が専属モデルを努めていた「Seventeen」のイベントに行った際にスカウトされる。その後、同じく「Seventeen」の専属モデルとなり、2012年『天才!志村どうぶつ園』でテレビ初出演をする。以降CM等に起用され、2013年『幽かな彼女』で女優デビューをし、同年『謝罪の王様』で映画初出演をしています。テレビや映画、CM等多岐に渡る活躍をしている女優で、2020年にはルイヴィトンのアンバサダーにも就任しています。
主題歌は、スピッツ「ときめきpart1」です。
原作は、田島列島の漫画となっており、別冊少年マガジンで連載されていました。2020年に完結しています。
物語は、高校に進学した主人公が、通学のためにおじの家に居候をするが、そこはシェアハウスのようのなっており、そこにいる人達との交流を描いたストーリです。
序盤から、駅でおじを待つ直達のところに榊さんがおじのかわりに迎えに来ます。始終不機嫌そうな感じで、感情を押し殺しているような榊さんではありますが、非常に豪快な感じで料理作ったりと、キャラクター性はよくわかりません。
山のようなポテトサラダを突然作ったりと榊さんの情緒不安定のところを行動でなんとなく示しています。
「大丈夫、国産和牛だから。」
榊さん自体、多分、牛肉が好きなんだろうなぁと。広瀬すず自体は感情を出すこともなく、不器用な人を演じているのですが、それがかえって魅力でもあり、いわゆるツンデレと言う点で興味が惹かれるのかと思います。
「だったら、いつまで千紗ちゃんは16歳でいるつもり？」
断片的にしか語られないのですが、榊さんにはなにか思い悩んでいるところがあるのがわかってきます。笑ったり、怒ったりをあまりしない榊さんですが、直達に対してなにか思い悩んでいることがあり、千紗の歩んできた境遇が後々明らかになってきます。
「怒ったってしょうがないことばかりだけど、怒らないのは許しているのと同じよ」
千紗は、自分の親に対して憤りを感じているところはあり、この感情を淡々とでも怒りを持っていることがわかります。千紗の視点からは、どうしようもないところがありますが、自分自身の問題ではなく、親の問題でもあるので、千紗自身がから回っているところもあります。
直達は、千紗の母からお金をもらい、そのまま募金箱に入れてしまいます。その後、千紗にそのことを話しますが、千紗の気持ちもなんとなく通い合うような憤りのない気持ちが通じている気がします。
それまでは、ツンデレ感のある千紗ですが、結局抱えていたどうしようもない気持ちがなにか解消されていくようなそんな空気感を感じます。
終盤、千紗と直達がどのような選択をするのかは観てもらうのがよいですが、2人とも抱えていた悩みや問題にどのように区切りをつけるのかというところであり、気持ちの整理をつけるというのが本作の締めくくりだと思います。
「大人にはいろいろあるんだよ」
本作の主人公はやっぱり直達ですが、千紗の抱えている複雑な問題を一つづつ紐解いていくようなそんな流れの印象があります。
「恋愛はいつか終わるんだよ」
「バッカじゃないの。」
ちょっと心残りのあるようなところがありますが、むしろスッキリしそうででもなにかしこりを残してくれるような作品です。エンディングのスピッツの曲がさらに、そのちょっとモヤのかかったような感じをうまくまとめているようなところがあります。
