【監督】ギャスパー・ノエ
【出演】ダリオ・アルジェント/フランソワーズ・ルブラン/アレックス・ルッツ/キリアン・デレ/リリー・ブラウン・グリフィス/リチャード・カーウィン/
【あらすじ】映画評論家の夫と、認知症のある元精神科医の妻が主人公。その息子は両親を心配するも、金銭の援助のために実家に訪れる。
目を背けたくなるという要素は変わらずに、観る人の心をエグッてくるような内容かと
ギャスパー・ノエ監督は、1985年短編映画『Tintarella di luna』で監督デビューをし、1991年『カルネ』でカンヌ国際映画祭の批評家週間賞を受賞し、一躍有名となります。その後、観客を挑発するような問題作を数々と作るフランス映画界の鬼才と呼ばれています。
ダリオ・アルジェントは、イタリアの映画監督で、新聞『パエーゼ・セーラ』で映画批評を担当後、数々の脚本を制作し、1970年『歓びの毒牙』で映画監督デビューをしています。1975年「サスペリアPART2」がヒットしますが、原題は「Profondo rosso」となっており、「サスペリアPART2」は日本独自のタイトルとなります。1977年「サスペリア」がヒットしていますが、「サスペリアPART2」は日本では1978年に公開したことで、このようなタイトルとなっています。「ゾンビ」「インフェルノ」「シャドー」「フェノミナ」などの代表作があり、ほぼ一貫してホラー作品を制作しています。
物語は、映画評論家の夫と元精神科医の妻。2人は、妻の認知症に悩みながらも、日毎に認知症が酷くなっていく。
ギャスパー・ノエ監督は、センセーショナルな作品を毎回提示してきている監督ですが、今回は、老夫婦の最期のときを迎えていく物語の流れで、いままでの作風とはちょっと違う印象を持ちます。
VORTEXとは、単語的には「渦巻き」という意味であり、本作の内容に意味深な言葉なのかとおもいます。
2分割した画面で2人の夫婦が描かれ、各々の生活から、死というテーマを描いており、いままでのギャスパー・ノエ監督の作風とはちょっと異なる印象ですが、目を背けたくなるという要素は変わらずに、観る人の心をエグッてくるような内容かと思います。
148分の内容であり、過去のギャスパー・ノエ監督作品からすると長い印象でもありますが、作風は違えど、描いているテーマには一貫した「生きることへの問い」があるのかと思える作品なのかと思います。