作品紹介
【監督】狩山俊輔
【出演】芦田愛菜/宮本信子/高橋恭平/古川琴音/汐谷友希/伊東妙子/菊池和澄/大岡周太朗/生田智子/光石研/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 うららは、毎晩ボーイズラブ漫画を楽しんでいる女子高生。ある日、うららのアルバイト先の本屋に夫に先立たれひっそりと暮らしている75歳の雪が訪れる。ボーイズラブの本を手にした雪はその新しい世界に驚きつつも、その世界に魅了され、うららとともに交流を深めていく。

わかる人にしかわからないところはあります。でも、それで良いのかと思います
狩山俊輔監督は、ドラマや映画の演出を行っており、2010年「Q10」、2013年「泣くな、はらちゃん」、2016「奇跡の人」など話題作を多く手掛けています。
芦田愛菜は、母親に進められ、3歳より芸能界デビューをしています。2011年「マルモのおきて」で人気となり、以降様々なメディアに登場しながらも、難関校でもある慶應義塾中等部に入学しています。
宮本信子は、1964年に劇団青俳に入団し、その後、フリーの俳優となります。1967年「日本春歌考」で映画デビューをし、その共演で伊丹十三と結婚をしています。1984年「お葬式」で評価され、その後、伊丹十三監督作品のすべてに出演をし、独特の存在感のある女優として活動しています。1997年に伊丹十三の死別を期にジャズシンガーとしても活動をし、伊丹十三の死後、映画界から遠ざかっていたものの、2007年『眉山-びざん-』で復帰をし、以降、幅広い活動をしている女優です。
岡田惠和は、フリーライターとして活躍後、1990年「ドラマチック22 香港から来た女」で脚本家としてデビューしています。以降、テレビドラマの脚本を多く手掛け人気となります。
作品の中で登場するボーイズラブ漫画は、 「君のことだけ見ていたい」という作品で、作画は「じゃのめ」が行っています。
原作は、鶴谷香央理の漫画「メタモルフォーゼの縁側」となっています。
脚本は、岡田惠和が手掛けています。
物語は、ボーイズラブ漫画の好きな主人公が働く本屋に訪れた老女が、ボーイズラブの世界に触れ、その世界に魅了されながらも、2人が交流を深めていくストーリーです。
序盤から夏の暑いさなか、雪がふと入った書店でとある漫画を買っていく要素が描かれます。
そこで、販売したのがうららで、2人の出会いがシレッと描かれます。
「ヒクなぁ〜」
やはり喫茶店のシーンといい、ボーイズラブにいまいちおおっぴらにオープンにできない趣味と感じているうららが雪とのギャップとなります。
同人という概念が現代と昔とはちょっと異なるところもありますが、このあたりも妙に面白いところです。
芦田愛菜自体もこの妙にリアリティのある役作りはなかなか良いです。
中盤から、ボーイズラブの作者 コメダ優 も登場します。
「ずるい」
「才能ないと漫画書いちゃいけないってことある?」
ボーイズラブから派生して、同人誌即売会に行ったりなど、うららのモチベーションがどこにあるのか、途中からわからなくなってきますが、雪の体調をみたときに、本作の筋がなんとなくみえたような気がします。
コミティアに出品をするわけですが、結局画力の問題もあるので、なかなか難しいところでもあります。
よくよく思うとペンタブレットで漫画を描いている場合、Gペンや丸ペンの使い方とは違うんじゃないのかと思います。
そこから漫画を描くことへ話が進んでいきますが、主役がうららから雪に変わっていくような気もします。
なお、うららの部屋は押入れを改良して机としている部屋になっています。
「たのしかった」
でもやっぱり、本作の主人公はうららであり、それを見守る雪という構造とも言えます。
さすがに「コメダ優」と出会うというのも出来すぎなんですが、まあそれはそれで本作が創作物語なので、良いのかなぁと思います。
完成した漫画の内容は、ちょっとグッときます。
が、わかる人にしかわからないところはあります。でも、それで良いのかと思います。
「この漫画のおかげで、わたしたち友達になれたんです。ありがとうございました。」
サラッと締めくくりとなり、妙にスッキリとまとめてくれている終盤であり、本作の本質は、この2人が前に進んでいくというところにあるのかと思います。
その上でこの縁側で語り合ってきた時間と匂いもまた、良い思い出となっているのかと思います。
予告編
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