【監督】木下麦
【出演】花江夏樹/飯田里穂/木村良平/山口勝平/三森すずこ/小泉萌香/村上まなつ/昴生/亜生/ユースケ/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 小戸川は、個人タクシーの運転手。なるべく他人と関わりあいのない生活を送っていたが、ある日、『練馬区女子高生失踪事件』に巻き込まれてしまう。
TV版を楽しんだ後に、期待せずに観るというのがオススメ
木下麦監督は、大学在学時よりアニメーターとして活動をし、2021年「オッドタクシー」で初監督をしています。
花江夏樹は、声優を志し、2011年『ゴールデン☆キッズ』で声優デビューをしています。2012年『TARI TARI』でレギュラー出演をし、2015年には『おはスタ』のMCとして出演しています。2019年『鬼滅の刃』で主人公 竈門炭治郎を演じ、多彩な役をこなす声優です。
物語は、他人と関わりあいを持たないように生活をしている主人公のタクシー運転手が、とあることで、街で起こっている事件に関わっていくうちに、とある事の秘密につながっていくストーリーです。
当初は、全13話のアニメーションとなっており、2021年4月から6月まで地上波で放送されていました。
独特なデザインと雰囲気が独特の作品です。
全13話のTV版のその後を描いた作品が、「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」となります。
TV版については、30分の連続作品でありながら、1話完結と連続した物語が絡み合っており、とてもおもしろい構成の作品です。
登場キャラクターが多くいますが、それぞれに特徴があり、わかりやすくなっています。
BGMが効果的にしか使わないので、セリフと内容がわかりやすいです。
その上で、延々と喋っているところがあり、脚本がよくできているというか、静寂が怖くて会話で埋め尽くしている気もします。
吉本芸人が声優をしているところもあり、会話のボケとツッコミが成立していて見やすいです。
主人公の小戸川のキャラクターが、人を寄せ付けないように見えて、実はなんとなくそこはかとない魅力があるような、そんな気がします。
ちなみに主人公の声は「鬼滅の刃の竈門炭治郎」の花江夏樹です。
キャラクターが動物の擬人化としているので、それぞれのキャラ立ちが極端で、所見でも関係性が整理しやすくなっています。
一見、とっつきにくそうですが、観始めれば、ほぼ一気に見られるほど観やすいです。
タクシー等の乗り物は妙に雑なCGで演出されていますが、この雑な作り込みが逆に効果的な印象もあります。
多分この演出は、この街の箱庭感なのかと思います。
登場するキャラクターの半分くらいがクズキャラクターである点で、人をよせつけにくい小戸川に妙に愛着を感じてしまうところがあるのかもしれません。
で、ここからが、映画版です。
映画版は、TV版の振り返り的な作品であり、様々な登場キャラクターが、当時を振り返るようなインタビュー形式で回想のような展開で物語が描かれます。
もともと、13話でザックリと合計6時間30分の内容を128分にまとめているので、要所要所無理があります。
本作を楽しむには、TVを観てからのほうが良いです。
問題は、肝心なTVの先の話は、実質10分もないので、見方を変えれば、ファンサービス映画であるとも言えます。
個人的にはTV版の終わり方でなんの問題もないと思っていたので、その先を描かれても、興ざめするような感じも否定できないです。
とはいえ、TV版の語り口は面白く観られますので、TVを楽しんだ後に、期待せずに観るということが良いと思います。
タイムパフォーマンスを求める人にはオススメはしません。