【日本映画】「MOTHER マザー〔2020〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/皆川猿時/仲野太賀/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 秋子は、息子 周平と暮らすシングルマザー。秋子はその場しのぎの生活を過ごしながらも、息子には服従するような歪んだ愛情を注いでいた。

この言葉があってからこそ、本作の救いがあったように思います

大森立嗣監督は、父に麿赤兒、弟に俳優の大森南朋を持つ。大学で8mmビデオを制作し始め、2005年に『ゲルマニウムの夜』で初監督デビューをし、『日日是好日』『さよなら渓谷』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』と様々な良作を制作しています。

長澤まさみは、東宝「シンデレラ」オーディションで史上最年少の12歳でグランプリを獲得し、その後、映画『クロスファイア』で映画デビューしています。ティーン雑誌『ピチレモン』の専属モデルとしても活躍し、2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロイン役としても話題となり、多彩な演技で注目されている女優です。

本作は、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」を元に制作されています。

第44回日本アカデミー賞で長澤まさみが最優秀主演女優賞を受賞しています。

物語は、シングルマザーの母親が息子と共にその場しのぎの生活をしながら、歪んだ愛情を持って育てていたが、息子が17際になり、とある事件が発生するストーリーです。

序盤、室内プールで飛び込み禁止なのに、飛び込みをするシーンが描かれます。

このシーンは些細なことに見えますが、ちょっと悪いことをしてしまう布石という意味合いにも見えます。

やってはいけないことだけど、母親の呼びかけに飛び込んでしまうという印象を持ちます。

母親のモラトリアムっぷりがどうも馴染めないながらも、その行動が気になってしまうところもあり、映画としての力をグイグイと感じてしまいます。

阿部サダヲが登場してきますが、このクズさ加減もなかなかすごいです。

息子と2人暮らしのシングルマザーですが、秋子の行動の無軌道さには、

何も感情を持たずに生理用品を万引するところは、なかなか心の壊れている感じがします。

観ているうちに秋子の行動に「またか」と思ってしまうところがあります。この誘うような目つきと行動にはとても魔性なところを感じてしまいます。

これは、周平の目つきにもそれを感じてしまうところがあり、この作品を見ながらの観ている側と周平の思っていることが一致してしまうところもあります。

スマートフォンを使い続けて居られるところは妙にモヤモヤします。

「もうやめようよ」

「殺されるんだよ」

秋子の行動ももともとはちょっとしたことがきっかけでの歪みとは思いますが、息子として長年母を見続けている周平にとっては、それが当たり前のようにも見え、

狛犬のたもとに座る秋子には年月の経過を感じさせる巧い演出ではあります。

秋子の行動はモラトリアムを拗らせた感はありますが、この状況に至る原因は様々な要因が重なって生まれたとも考えられます。

「なにか悪いことあります?自分の子供ですよ。」

秋子には秋子の正義があり、その母親に連れ添っている息子の周平もまた、その考えに影響されてしまった存在でもあるように思います。

「ぼく、おかあさん好きなんです。」

このあとの周平の一言には本作の割り切れない想いをとても感じます。

この言葉があってからこそ、本作の救いがあったように思います。

MOTHER マザー

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