【アニメ】「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q〔2012〕」★★★★★【感想・レビュー】

【総監督】
【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】世界規模の大災害が起こったと言われる「セカンドインパクト」から15年後の世界。エヴァンゲリオンのパイロットとなった主人公 碇シンジは、ニアサードインパクトを起こしかけるも、渚カヲルにより阻止される。そこから14年後の世界で、新たな組織 ヴィレとネルフとの闘いに巻き込まれていく。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

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何が起こっているのかわからない点で観ている側も主人公に同感できる点があり

庵野秀明総監督は、幼い頃よりアニメや特撮に興味を持ち高校生では美術部長を務め圧倒的な画力があったそうです。大阪芸術大学映像計画学科でアニメの世界に触れ、自主制作映画を作っています。そのスタッフは後にガイナックスの主要メンバーとなっています。様々な劇場アニメの作画に携わり、『風の谷のナウシカ』の巨神兵のシーンの担当をしています。1988年『トップをねらえ!』で商業映画初監督をし、1997年には「新世紀エヴァンゲリオン」で社会現象にもなる作品を作り出しています。実写作品も制作しており、非常にこだわりの高い監督です。

本作は、2007年より再構築という形で劇場映画化をしており、全4部作の内の第3作目にあたります。

副題の「Q」とは、舞楽・能楽の構成形式であり、「序・破・急」の構成となっています。

本作は4部構成と言われており、4作目は、その「序破急」の流れに当てはまらないところになります。

『新世紀エヴァンゲリオン』TVシリーズとは全く異なる展開となり、登場人物には踏襲されたところはありますが、世界観が全く異なり、空白の14年を経て、再び世界を取り戻そうとする碇シンジのストーリーとなります。

序盤から、US作戦という戦闘から始まり、エヴァンゲリオン史上初の宇宙空間での戦闘が繰り広げられます。

新たに、エヴァンゲリオン8号機が登場し、この新しいエヴァにも意味深なところがあります。

「前作より14年の年月が経っている」

「対ネルフの組織ヴィレが結成されている」

「式波・アスカ・ラングレーが眼帯をしている」

「アヤナミレイという異なる人物が登場している」

「カシウスとロンギヌスの2本の槍が登場している」

「ヴィレの主力兵器がヴンダーという不可思議な飛行型要塞」

「第11の使徒の存在は不明」

「第13の使徒(最後の使徒)が多少異なる」

「ネーメジスシリーズという新たに敵っぽい何かが登場する」

「エヴァンゲリオン13号機となるものが登場する」

「すでに世界が崩壊しているのですが、その世界が不可思議」

「碇ゲンドウ、冬月コウゾウの登場が少ないながら、かなり重要な印象がある」

「L結界深度という新しい言葉が出てくる」

序盤の戦闘には、「不思議の海のナディア」で使用された音楽が使われており、なんとなく意味深な感じがします。

序盤のUS作戦の初号機に取り付くシーンがとても良く、慣性を感じるような演出で序盤のツカミとしては満足できます。

特にウインチでワイヤーを巻き取るところは個人的にツボです。

全く変わってしまった14年後の世界が描かれており、主人公の碇シンジと同様に観ている側も、前作からの空白期間がわからないので、何が起こって何をやっているのかがモヤモヤしながら物語が進んで行きます。

この物語が把握しずらいところは本作単品で判断するよりも、ヱヴァンゲリヲン新劇場版の全体像としての仕掛けとして観た方が良いですので、現時点で全容を完全に把握はできないと思います。

その点で、物語を考察するところは、エヴァンゲリオンの人気の一つでもあり、展開を想像する余地がかなり残されている展開となっています。

本作には様々な新要素があり、これもまた本作の魅力です。

ヴィレの組織の勢力感や旗艦のヴンダーのデザインなどなど、今までのエヴァンゲリオンよりもゴテゴテ感と突貫工事な改修された機体が特徴で、スタイリッシュなデザインから、アニメーター泣かせなデザインとなっています。

反面、CGで作り込まれたところもあるので、CGを併用したアニメーションとしては一つの到達点であるようにも思えます。

その技術は予告編でも使われたピアノの演奏をCGで描いたところもあり、ここまでの作り込みをしているところにはなかなか他のアニメでは見られないこだわりようでもあります。

父親の碇ゲンドウの立場もかなり変わっている様な印象もあり、荒廃したネルフ本部で何かをしている点には深まる謎が込められている様にも思われます。

ネルフ職員がほとんど描かれないところからもその謎は込められていると思われ、使徒との戦いとは違う点で物語の面白さがあります。

中盤から終盤の戦闘の流れは、碇シンジの感情も理解はできますが、やはり多少行き過ぎたところもあり、この点に関しては、必ずしも感情移入ができるところではないために、ここで物語の流れに我に返ってしまうのかもしれません。

中盤までは、何が起こっているのかわからない点で観ている側も主人公に同感できる点がありますが、徐々にその感情も乖離していくために、本作の評価が賛否両論となってしまう原因かと思われます。

もともとエヴァンゲリオンの碇シンジには、感情移入がしずらいところがTV版からありましたが、新劇場版の前2作ではヒーロー感もあったので受け入れられやすかった点もあり、本作の終盤までの展開で、また元の作品間に戻ってしまった印象があります。

残る4作目でどの様な展開となるのかは現時点では不明ですが、このモヤモヤ感を払拭する様な展開の結末になるかどうかは、2021年の劇場公開で完結するのでそれに期待したいところです。

予告編

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