【日本映画】「朝が来る〔2020〕」を観ての感想・レビュー

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【日本映画】
【日本映画】★★★★★
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【監督】河瀬直美
【原作】
【出演】/若葉竜也/
【個人的評価】★★★★★

【あらすじ】栗原清和と佐都子の夫婦は「特別養子縁組」で、男の子を迎え入れるが、6年後、生みの親と名乗る片倉ひかりから、「子供を返してほしい」と連絡が入る。しかし当時合ったひかりとは面影もない女性だった。

朝が来る

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光と影により、言葉や演技以外にも物語として語っている

・河瀬直美監督は、1992年『につつまれて』を自主製作ドキュメンタリーとして発表し評価を得る。1997年『萌の朱雀』で劇場映画デビューをし、カンヌ国際映画祭カメラドールで史上最年少受賞しています。その後多数の作品を制作し、一貫して「リアリティ」を追求したドキュメンタリー作品を作りつづけています。

・永作博美は、アイドルグループ『ribbon』で活動をしていましたが、解散後、1994年「陽のあたる場所」でドラマデビューをし、その後、様々な作品に出演をしており、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『酔いがさめたら、うちに帰ろう』『八日目の?』と定評のある演技力があります。

・井浦新は、大学時代にスカウトされモデル「ARATA」として芸能界入りし、1998年には、独自のブランド「REVOLVER」を立ち上げています。1999年「ワンダフルライフ」で映画初主演をし、その後2002年『ピンポン』で人気を得ています。2005年には「メガネ男子」で「好きなメガネ男子」1位となっています。

・ARATAから本名の井浦新にと改名した理由は、「を演じた役者の名前が、アルファベット表記でエンドロールに出ることは好ましくない」と考えたからと発言しています。

・物語は、養子を招き入れた夫婦のもとに生みの親が現れ、子供を返してほしいと言われるが、現れた女性は昔の面影がない女性だったというストーリーです。

・直木賞、本屋大賞受賞作家・辻村深月のヒューマンミステリー小説が原作。

・2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出されています。

・河瀬直美作品としては、2年ぶりとなりますが、原作つきの作品としては、2015年「あん」以来になるかと思います。

・永作博美は、50歳となりますが、50歳とは思えないかわいさがあります。

・かわいいが先行しがちですが、実際には演技も卓越しており、映画としては5年ぶりとなりますが、安定感があるかと思います。

・永作博美が河瀬直美作品に出演するのは初めてかと思われますが、意外な取り合わせな気もします。

・河瀬直美作品は難解なところもあると思いますが、本作は原作つきということもあり、難解さというよりも、しっかりとした演出力を観られる作品になっているかと思われます。

・序盤は、子供が生まれるシーンが描かれますが、映像的にはイメージだけで、音でそれを表現しています。

・栗原清和と佐都子の夫婦の子供が登場しますが、そこから時間軸が変わり、なぜ子供がいるのかが描かれます。

・夫婦がこどもを作れないことで養子縁組で男の子を受け入れます。

・養子制度を利用し、恵まれずに出来てしまった子供と事情により子供ができない夫婦の構図が描かれます。時間軸が多少前後しながら、描かれている状況を解説するかのようにストーリーが続いていきます。

・栗原清和と佐都子の夫婦の前にひかりと名乗る女性が現れ、子供を返して欲しいと頼みに来ます。

・このひかりが当時養子として子供を授かる際に会った女性と異なる印象があり、何故こうなったのかが、中盤からの物語となります。

・ひかりが中学生の頃の話となり、その時に出会った巧という同級生と付き合うことになりますが、そこで子供ができてしまいます。

・「ねえ、なんであやまるの」

・「人生がだめになるんやぞ」

・子供が出来たことで、将来のことや自身の進路について判断も難しくなりますが、広島で出産を決めます

・親のこの気持ちもわかります。しかし、そういうことになってしまったことにどう対処するかということで、一つのメッセージがあるようにも思います。

・「朝起きて、一緒に掃除して寝る」

・「好きな人の子供なの?」

・きっちりと出産をしますが、母親とならずに子供を養子として引き取ってもらいます。

・父親側は特に描かれないのがモヤモヤしますが、実際には子供を宿している女性側の問題が非常に大きく、出産をすることの重要さがわかるような気がします。

・だから子供はいらないというような風潮もあり、少子化が顕著な日本社会でもありますが、本作はそういうことを描いているわけではなく、主人公であるひかりが望まれない子供を産んだわけではないことがポイントにもなります。

・「まだ終わってない」

・出産後のひかりの人生は大きく変わったようなところもあり、子供を育てるということの厳しさも描かれているようにも思います。

・ひかり自身の心の支えとはなんなのか?ということをはじめ、栗原夫婦とひかりとの物語として、それぞれの考えと思いが見え隠れします。

・「あなたなんかに関わってほしくない」

・ひかり自身がどういう気持ちがあり、どうなっていくのか?

・特別養子縁組による制度で、子供にも周囲にも養子ということは明かされている中で、本来の母親と養子としての母親の視点は異なるようで、どこか同じようなところも感じます。

・最後のセリフからしばらくセリフはありませんが、それで伝わって来る余韻に、本作の言葉にしきれないメッセージがあります。

・原作が辻村深月のミステリー小説となりますが、河瀬直美の演出力で、ミステリーとは異なる雰囲気で描かれており、原作付きということもあるので、非常にわかりやすく作られています。

・明暗を使った演出も見事で、光と影により、言葉や演技以外にも物語として語っているところが、河瀬直美映画の優れたところにも思います。

監督の「そして、父になる」も若干比較によぎりますが、本作はまた違った印象を残しているような気がします。

・なかなか重たいテーマではありますが、ネガティブな作品でもないので、観終わったあとで何か心に残ることが大事な気がします。

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