【監督】山本透
【原作】松尾由美
【出演】高橋一生/川口春奈/浜野謙太/中村優子/川栄李奈
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 北村志織は、旅行代理店で働く27歳。ある日、引っ越しを決意し、芸術活動をしている人だけが借りられる一風変わったアパート「アビタシオン・ゴトー」に入居が決まる。住み始めてから、エアコンの穴から声が聞こえるのを聞くことで意外な物語が動き出す。
登場人物が限られているところもあり、説明も的確ではあるので、サラッと観るのは良い映画
・山本透監督は、フリーランスの助監督を経て、2008年「キズモモ。」で長編映画監督デビューをし、以降様々な作品を手掛けています。
・原作の松尾由美は、1989年に『異次元カフェテラス』で作家デビューをしたSFを得意とする作家です。
・高橋一生は、1990年『ほしをつぐもの』で映画初出演をしており、その後演劇や声優などで活躍するようになりましたが、端役が多かったのですが、数年前からやっと主演クラスの作品で目立つようになってきています。
・なお、スタジオジブリ作品「耳をすませば」では、主要キャラクター・天沢聖司の声優を担当しています。
・川口春奈は、2007年に第11回『ニコラ』のオーディションにおいてグランプリを獲得しモデルとして活躍、2009年10月にフジテレビ月9ドラマ『東京DOGS』で女優デビューをし、2011年に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で映画に初出演しています。
・2020年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で、沢尻エリカの代役として大河ドラマにも出演しています。
・主題歌は、androp「Koi」です。
・物語は、一風変わったアパートに引っ越しをした志織は、新しい生活を始めていたが、ある日エアコンのダクトからの声を聞く。その声は1年後の未来からの声で、その声の主はシラノという人だった。平野の尾行を依頼された志織は、目的がわからないまま尾行を開始するが、その依頼にはある秘密が隠されていた。
・序盤は、アパートの不思議なところと志織の私生活が描かれており、まさしく川口春奈のプロモーションビデオのようです。
・個人的にはあまり好みのタイプの女性ではありませんが、それでも彼女の魅力がしっかりと出ています。
・不思議な展開となってくるのが、エアコンのダクトからの声。
・この声は未来からの声というSF要素になっており、未来を予見したことを次々と的中するので、志織はその声が未来からの声と信用します。
・声の主はシラノという人であり、隣人の平野を尾行するように指示します。
・コレがキッカケで物語が動き始めますが、この尾行にはもう一つの目的があり、その目的のためにタイムパラドックスが発生してしまう可能性が生まれてしまいます。
・タイムパラドックスといえば、バックトゥザフューチャーなのですが、このパラドックスとはちょっと異なり、未来が変わったことで起こる3つの可能性が出てきます。
・そのうちの一つが、志織の存在自体がなくなってしまうということで、このパラドックスから抜け出る必要が出てきます。
・後半はこの要素が主となっており、シラノと平野と志織の関係性に集約されてきます。
・結果的にはパラドックスは回避できるのですが、その謎解きには観てのお楽しみとさせてください。
・ミスリーディングを仕掛けられたストーリーですが、この流れに乗ってみる事が本作の正しい楽しみ方とも言えます。
・SF要素とラブロマンスをうまく配合した展開であり、志織演じる川口春奈の魅力を感じながら見続けられます。
・いくつか気になるのは、高橋一生と川口春奈の年齢差がちょっと離れているかなぁと思えるところでもありますが、浮き足立っていない高橋一生の物腰がピッタリだったと考えることで納得しています。
・自炊をしている高橋一生も妙に「こだわって作っていて美味しいんだろうなぁ」と思う反面、「作りすぎちゃって」という独身が板についていながら、シレッと誘い文句が言えるところがそういうところかと思います。
・そもそも、独身が板についている感じで作りすぎるのはちょっとリアリティに欠ける訳です。
・とは言え、こういう包容力が、近年の好感度の高い俳優の地位があるのかとも思ってしまいます。
・SF要素で難解なようにも見えますが、登場人物が限られているところもあり、説明も的確ではあるので、サラッと観るのは良い映画かと思います。