【日本映画】「惡の華〔2019〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 春日高男は、地方に住む中学2年生。ある日、クラスのあこがれの生徒 佐伯奈々子の体操服を盗んでしまうが、これをクラスの問題児 仲村佐和に見つかってしまう。それ以来、佐和に弱みを握られ、変態行為を強要されるが、自己の感情をむき出しにすることで高男の心が変わっていく。

惡の華

観る前には精神状態をお確かめの上、ご鑑賞ください

・井口昇監督は、学生時代より映画を作りはじめ、AVの監督を経て、一般作品も作り始めます。

・「片腕マシンガール」の高評価を経て、様々な作品を送り出しています。

・原作は押見修造の漫画となっており、2003年、別冊ヤングマガジン『スーパーフライ』でデビューをし、人間の内面を描いた作品を多く作り上げています。

・伊藤健太郎はモデルとしてデビュー後、2014年のドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』にて健太郎名義で役者デビューをして以来、様々な役どころを演じています。

・『このマンガがすごい! 2011』のオトコ編で第10位にランクインした作品です。

・物語は、思春期に弱みを握られてしまった主人公が、自らの内面をさらけ出されていくうちに、自分の思うところの考えに変化が生まれ、自我の行方を模索するストーリーです。

・本作のキーとなるには、高男の弱みを握ってしまう佐和。彼女を演じるのは玉城ティナとなります。

・多少キャラクターが一致しないかなぁと思うところはありますが、違和感を感じるのは序盤までで、徐々に違和感は失せていきます。

・中学生編と高校生編と内容を2つに分けることができ、この2つの内容で主人公の考えの変化もわかりやすくなっています。

・主人公に感情移入はなかなかできないところはありますが、主人公目線の物語でもあり、徐々に主人公の自らをさらけ出していく様には、心の奥を見透かされているような感覚に陥ります。

・この感覚が楽しめるかどうかで本作の評価が変わっていますが、実写もアニメも漫画も同じことで、本作の魅力はこの部分にあると言って過言ではありません、

・特に中学時代のとある事件を起こすところは、マンガでは異常なテンションを感じたのを覚えています。

・このテンションは、アニメや映画ではちょっと物足りなさがありましたが、初見がどこ媒体になるかに問わず、初めて観る時にはかなり胸に刺さってくるところがあると思います。

・高校編はその事件後となるので、高男自体の振り切れ方はすでに予想がつくところでもあり、本作のピークは中盤にあるとも言えます。

・基本的にはマンガを丁寧になぞらえているので、大きな違和感は生まれないかと思います。

・実際、どの媒体で本作を見れば良いかについては、どれでも良いとは思いますが、個人的にはコミックのテンションが最も高く、この作品の題名「惡の華」という要素を一番よく表しています。

・(まあ、コミックがあったからこそ、アニメ化や映画化がされているわけですが。)

・実はアニメ版も野心的なところもあり、アニメ版は、日本のテレビアニメでは史上初の全編ロトスコープを用いた作品となっています。

・狂気という言い方もできますが、そういう視点とは微妙に違い、この作品独特の世界観と描かれ方があります。

・観れば確実に心に何かしらのささくれが残る作品ですので、あまり気分が良くないときに観るのはおすすめできないので、観る前には精神状態をお確かめの上、ご鑑賞ください。

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