作品紹介
【監督】中田秀夫
【出演】飛鳥凛/山口香緒里/町井祥真/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】女性陶芸家の登紀子は、高い人気を得ており、その弟子 はるかは師匠に仕えていた。登紀子は婚約者を亡くしており、その悲しみから、師弟関係を超える関係があった。ある日、新しい弟子の悟が現れ、師弟関係に様々な思惑が生まれ始める。
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この異様感をベースにしっかりとロマンポルノなところは、中田監督ならではの作品
中田秀夫監督は、助監督を経験し、1992年『本当にあった怖い話』で監督デビュー後、『女優霊』を監督し、注目を浴びる。ジャパニーズ・ホラーとして新しい作風でホラー作品を多く制作しています。
ロマンポルノに関しては、中田秀夫監督は、ロマンポルノ初監督作品となります。
飛鳥凛は、オーディションに合格し、芸能界に入り、2007年「天使がくれたもの」で映画初出演をしています。仮面ライダーWに出演しています。
山口香緒里は、1993年に女優としてデビュー。2003年には写真集「MEMENTO MEMO」でヌード姿を披露をしています。
キャッチコピーは、「甘美な蜜の虜になる―」
日活ロマンポルノの45周年を記念して企画されたシリーズで、「70分前後」「10分に1回程度の濡れ場」「撮影は1週間」「製作費は定額」「オリジナルストーリー」というマニフェストの中で5本の作品が作られ、本作はその1作。
主演の飛鳥凛と山口香緒里は二人とも映像での初ヌードを披露しています。
ホワイトリリーとは、「白百合」という意味合いがあり、いわゆる女性同士の関係を指して「百合」という意味があります。
序盤はいきなり口で背中のチャックを上げるという意味深すぎる行動から、色々と展開に暗喩のような印象を受けます。
その後、新たな弟子が出てくることで、三角関係のような状況が描かれ始め、愛憎劇のような展開となってきます。
ロマンポルノは、1971年から1988頃まで、日活が行なっていた低予算映画ながら利益を生み出す施策としてとられたムーブメントで、成人向けに始終しがちの作品に、物語性を打ち出したことで、表現の自由を狙った監督が多く作品を作り出しています。
当時は、神代辰巳・曾根中生・小沼勝・田中登などの監督が作品を作り、その後、石井隆・和泉聖治・金子修介・崔洋一・周防正行・相米慎二・滝田洋二郎・中原俊・那須博之・根岸吉太郎・村川透・森田芳光らの監督たちがデビューのきっかけとして作品を作っています。
今回のリブートには、園子温・中田秀夫・行定勲・白石和彌・塩田明彦と言った日活ロマンポルノの監督をしたことのない監督が作品を制作しています。
予告編
今回のリブートには、マニフェストが掲げられ、5人の監督が様々な趣向から作品を作っています。
ということで、物語の説明に戻ると、中田秀夫監督らしく、ホラー要素を絡めた愛憎劇となっており、ただのポルノ映画では止まっていないところがあります。
愛情が膨れ上がり、愛憎となっていく様とそのこじれは、普通の映画としてのストーリーとしても充分に理由づけはされています。
そのため、根拠なく、登場人物が動くわけではなく、サラッと仕草や行動で、それぞれのキャラクターの感情を描いているところがあります。
やはり、題名通り百合要素がありますが、この百合要素も師弟関係という要素から、一味違うポルノ感があります。
当然、主従関係という要素も見え隠れするので、この部分に物語の深みと複雑さを醸し出しています。
問題は、ホラー要素を得意とする監督作品でもあるので、全般的に、なんとなくホラー感のある意味深な演出も多いです。
リングの中田監督だけあり、どこかしら、貞子感もあるような雰囲気があります。
めちゃくちゃおもしろいという作品ではありませんが、この異様感をベースにしっかりとロマンポルノなところは、中田監督ならではの作品です。