【洋画】「さらば愛しきアウトロー〔2019〕」★★★★☆【感想・レビュー】


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作品紹介

【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 フォレスト・タッカーは、老人ながらも、銀行強盗を繰り返してきた犯罪者であり、その犯行は、拳銃は見せるものの、一切発砲をしないで強盗を成功させていた。とある犯行中に出会ったジュエルに恋に落ちながらも、タッカーは犯行を繰り返し続けていた。

17回目の脱獄がどうなったのかは観てもらったほうが良いです

デヴィッド・ロウリー監督は、2009年『St. Nick』で初の長編映画を制作し、2013年『セインツ -約束の果て-』では、第66回カンヌ国際映画祭の「批評家週間」部門にて特別上映されており、作家性のある監督です。

ロバート・レッドフォードは、高校で飲酒が発覚し退学となり、紆余曲折の末、1959年にブロードウェイでデビューします。その後1962年に映画に出演するようになりますが、脇役が多く苦労します。1969年「明日に向って撃て」のヒットと、1980年初監督作「普通の人々」でアカデミー監督賞と作品賞を受賞し、名実ともに確固たる地位を確立した名優兼プロデューサーです。

ロバート・レッドフォードは本作をもって、俳優業を引退すると公言しています。

本作は、誰ひとり傷つけることなく大胆不敵な犯罪を繰り返した実在の伝説的紳士強盗フォレスト・タッカーを描いています。

序盤は、タッカーの手口をさらっと見せてくれます。

カフェでの会話で、そのシーンの流れを説明してくれますが、ここからタイトルバックとなり、本作のタッカーのいきざまが見られます。

ドライバーとしてタッカーが自分で運転する場合もありますが、この強盗劇は複数人で行われてもいます。

思えば、ロバート・レッドフォードは、撮影当時82歳くらいなので、かなりな高齢ドライバーでもあり、本来なら免許返上のほうが良いのかもしれません。

次々と犯行をしていくタッカーの行動と、この音楽の緊張感が素晴らしく、ロバート・レッドフォードのスマートな銀行強盗とこの優しそうな問いかけの流れには、銃を一切発砲せずに銀行強盗をこなしているのに理解ができます。

やっていることは普通に犯罪でもありますが、「今日が初めての仕事なの」と泣きながらお金をかばんに入れる女性行員に、「大丈夫泣かなくていいんだよ」というところに、この犯罪者の不思議な魅力を感じます。

たまたま自動車の故障で知り合うことになる女性 ジュエルは、タイトルバックよりも前に登場し、序盤のつかみとして、観客目線での感情移入がしやすいところにも、本作の妙味があります。

つまり、主人公はタッカーではありますが、あくまで、レッドフォードが演じており、レッドフォードの生きざまを見届けるというような視点もあるのかもしれません。

16回の脱獄を繰り返し、成功してきている人生でもあり、その各回を振り返るシーンはかなり良いシーンでもあり、この演出はこころに残ります。

これは、ロバート・レッドフォードの俳優業の引退とそれまでの出演作とのフラッシュバックのような気もします。

下積みもあり、天性のスターと言うよりも、努力と真摯に向かい合ってきた結実が、このロバート・レッドフォードとも言え、引退作というところでもありながら、しっかりとロバート・レッドフォードの総括をしているようにも見えます。

17回目の脱獄がどうなったのかは観てもらったほうが良いです。

「そして彼はそうした」

この脱獄にはかなり意味深なところがあり、このシーンからエンディングまでのエピソードには、色々とモヤモヤしますが、これがタッカーの人生だったということでもあります。

公言通りであれば、これでロバート・レッドフォードの出演する映画は観られなくないことになりますが、1962年「戦争狩り」から始まり、様々な映画界に貢献してきた名優でもありますが、今後も映画界を支えられる「演技と製作の双方で地位を確立した映画人」として活躍してほしいところです。

予告編

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