【監督】レニー・ハーリン
【出演】ブルース・ウィリス/ボニー・ベデリア/ウィリアム・サドラー/ジョン・エイモス/フランコ・ネロ/レジナルド・ヴェルジョンソン/ロバート・パトリック/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】前作から1年後のクリスマス。主人公 ジョン・マクレーンは、妻のホリーを迎えにダラス国際空港に向かうが、南米の麻薬王エスペランザ将軍の護衛機の経由がきっかけで空港がパニックとなる。
嘘も方便ということがありますが、まさしく本作はそのバランスの上に成り立っている作品
レニー・ハーリン監督は、フィンランド生まれの監督で、アメリカに渡り、1988年『エルム街の悪夢4』で注目されます。その後、「ダイ・ハード2」のヒットで、「クリフハンガー」「ロング・キス・グッドナイト」などの大作を手掛けますが、2014年「ヘラクレス」では、「大人が作った作品とは思えない」「映画史に残る失敗作だ」というような酷評がされています。
本来は前作に引き続き、ジョン・マクティアナンが監督をする予定でしたがスケジュールの都合で、レニー・ハーリン監督がメガホンをとっています。
こうなると、ジョン・マクティアナン監督版を逆に観てみたい気もします。
ブルース・ウィリスは、TVドラマ『こちらブルームーン探偵社』で話題となり本作に抜擢、一躍アクション俳優として注目され、アクションからコメディまで幅広い役どころを演じますが、一時低迷し、『パルプ・フィクション』の重要な役で再注目され、1998年の「アルマゲドン」で見事に返り咲きます。
さらに「シックスセンス」では演技も評価されトップアクターとして地位を確固たるものとします。その後も「ダイハードシリーズ」や「エクスペンダブルズ」に出演し、話題性の高い俳優です。
物語は、前作に引き続き、主要なキャラクターが出てきますが、空港を舞台に、「運の悪い男」としてトラブルに巻き込まれながら、なかなかくたばらない男として、活躍するストーリーです。
序盤は空港に迎えにきたマクレーンの行動が描かれますが、毎度のことながら、犯罪の臭いを察してついつい余計なことを始めてしまいます。
この辺りは、マクレーンの性格の問題かと思いますが、そもそも管轄外の事件となるので、本来は自ら動かないほうが適切だったのかと思います。
この「俺がオレが感」はこのシリーズの主人公の常識のなさになりますが、とはいえここで順当な対応をしてしまうと映画にならないので、これはこれで良かれと考えるのが良いです。
ホリーの隣の席に座った女性が読んでいる雑誌の広告は「リーサル・ウェポン」となっており、同じプロデューサーのちょっとした小ネタとなります。
荷物検査場での銃撃戦が序盤から始まりますが、相手が持っている拳銃は、グロッグと呼ばれ、部分的にプラスティックが使われているので、X線に引っかからないという設定ですが、実際には銃身は金属を使っているので、持ち込むことはできないです。
同じく、この荷物検査場の無数のベルトコンベアは実際にはここまで無数には存在していなく、演出上の設定です。
さらに荷物を挟むこむ機械はもう映画のために用意した機器であり、一周回った妙なリアリティがギャグになっていないところは素晴らしいところです。
小型のアンテナ基地とハッキングで空港全体を乗っ取るわけですが、やはりこのセキュリティは、あまりにも管理能力が低いような印象もあります。
空港では、飛行機との通信を行なっており、レーダーと管制塔の指示で飛行機は離着陸するので、コレもコレで飛行機側には対処のしようがないところでもあります。
第二管制塔の制圧についての銃撃戦は非常に良くできていて、狭い空間をM16ライフルで戦う側とテロリストのサブマシンガンでは圧倒的に身軽さが違い完敗するのは当然のところです。コレはむしろ理詰めで圧倒的に戦い方が違うとわかる戦闘であり、その後のマクレーンの登場にも繋がります。
マクレーンはベレッタ92Fで匍匐で動き回るので、跳弾からも避けられ、自由に動くことでテロリストを上回ることができています。
何度も弾倉がジャムってしまうサブマシンガンと比べても、有利であり、15発の弾倉のベレッタが有利となります。
こういう銃火器の細かな利点の差をえがいている点は一周も回らずにリアリティがあり、納得できる演出です。
なお、テロリストとして出演しているロバート・パトリックは、猫のように忍び寄ってくるところが気に入られてターミネータ-2のT-1000役に抜擢されています。
管制塔の虚偽の誘導で飛行機が墜落しますが、ここまでテロになってくると流石に軍隊が出てきてもおかしくないところですが、そこまで大規模な軍隊が登場しないのも不思議ですが、コレもスチュアート大佐の綿密な計画となり、無茶な設定ですが、映画的演出としてバランスはとれています。
空砲というカラクリも出てきますが、実際には自動式火器では銃口にアダプタが必要となり、仕組み場連続空砲を出すのはできないことになりますが、リアルと虚構をうまく組み合わせた演出で、違和感を感じにくくさせています。
また空砲と実装した射撃では、反動が異なるため、後々マクレーンが気がつく演出も怪しいところがあります。コレも映画として演出でありうまいところです。
虚構とリアルが適度なバランスで作られている映画は多くに見られますが、限定空間と不屈の主人公という捉え所が特長だったダイハードの続編としてとてもよくまとまった作品です。
嘘も方便ということがありますが、まさしく本作はそのバランスの上に成り立っている作品と言えます。