【監督】ドーリス・デリエ
【出演】ゴロ・オイラー/入月絢/ フェリックス・アイトナー/樹木希林/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 カールは、ミュンヘンに住む男性。彼は、酒に溺れて仕事も家族も失ってしまう。そこにユウという日本人女性が現れ、カールの父の墓と生家を見に来たという。
外国映画ながら、日本の文化や思想というものを描きつつ、ぼんやりとですが、心に何かしらの印象を残す作品
ドーリス・デリエ監督は、ドイツの映画監督で、アメリカで哲学と心理学を学び、その後、ドイツで映画評を始めとして、映画界で活躍をし、1985年「メン」でドイツ国内での観客動員数の記録となり、評価を得ています。親日家としても知られ、2005年「漁師と妻」、2008年「HANAMI」や2016年「フクシマ・モナムール」と日本を題材とした作品を近年は手掛けています。
ゴロ・オイラーは、ドイツの俳優で、2006年から、映画やテレビでキャリアをスタートさせています。2006年「欲望の疵」を始め、様々な作品に出演しています。
入月絢は、幼少の頃からバレエを学び、その後ダンサーとしてのキャリアを積んでいます。ソロダンサーとして世界的に活躍しており、2008年「HANAMI」や2016年「フクシマ・モナムール」などの映画にも出演しています。
樹木希林は、杉村春子の付き人をした後に、役者としてデビュー後、芸名売却などもあり、樹木希林の芸名は後々つけられました。老け役として昔から活動しておりましたが、2018年に他界しています。
物語は、酒が原因で家族を失った主人公が、父親と親交のあった女性ユウと出会い、父親、そしてユウの祖母と自らのルーツを探していくようなストーリーです。
序盤は、カールの環境が描かれ、家族を失い、孤独なところが描かれます。
MacBookで、動画を観ながら寝てしまっている主人公ですが、寝るときは必ず、パソコンは閉じておくほうが良いです。なお、このディスプレイの光で、寝ているとしても目に刺激を受けているので、快眠はできないかと思います。
その後、タイトルバックとなりますが、タイトルバックは日本の妖怪の絵を見せており、ここには本作の要素が含まれています。
ユウとの出会いで、親類のことがわかってくるようになり、ここから、カール自体の生きる道のようなものがぼんやり描かれていきます。
幻想と妄想が含まれる演出があるので、多少理解しにくいところはありますが、主人公視点で描かれている物語でもあり、見失うことはないと思います。
前半は、父親ルディとユウを中心にストーリーが展開しますが、後半になると日本の物語へと舞台が変わってきます。
茅ヶ崎の老舗旅館「茅ヶ崎館」の物語となってきますが、ここの女将に樹木希林が登場します。多分、本作が遺作となりますが、体力的な衰えも見えながらも、しっかりとした樹木希林節での演技が見られます。
茅ヶ崎館は、別荘地・保養地として1889年創業された旅館となっています。
小津安二郎監督や、新藤兼人監督、是枝裕和監督、西川美和監督など様々な人がこの場所を利用し、映画のロケ地としても使用されています。
後半は、カールの物語へと収束していきますが、本作のテーマはすでに多くのことが提示されています。
トランスジェンダーやアルコール依存、家族の関係や幻覚、死生観などが盛り込まれています。
明確な答えやメッセージがさけられていますが、言葉や説明で伝えるというよりも感覚で伝えるところになります。
「人生を楽しんで」
ユウという日本人女性がキーとなる物語です。
外国映画ながら、日本の文化や思想というものを描きつつ、ぼんやりとですが、心に何かしらの印象を残す作品ではあります。