【日本映画】「愛しのアイリーン〔2018〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【原作】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】42歳まで独身だった主人公 岩男。実家に久しぶりに帰郷すると、父親の葬式の最中だった。帰郷の際に突然フィリピン人の嫁アイリーンを連れて帰ったことで、一族は騒然とする。それから、実家で生活を始めるが、フィリピン人のアイリーンとその周囲での噛み合わない生活が始まる。

愛しのアイリーン

中盤以降の展開はなかなか他の映画では観られない内容でもあり、心して観てほしい映画

・吉田恵輔監督は過去に「ヒメアノ~ル」「犬猿」「純喫茶磯辺」を制作しており、独特の世界観と演出に定評があります。

・原作の新井英樹は「ワールド・イズ・マイン」「宮本から君へ」を描いた漫画家で、社会の不条理なことを主題とした作品が多いです。

・本作では、国際結婚をして地方の農村で生活をするギャップと理解を鋭く描いています。

・主人公 岩男を演じる安田顕は、寡黙な主人公を巧みに演じており、脇役のほうが似合っているような印象でしたが、本作に限っては、ぴったりな役となっています。

・カタコトの日本語しか理解できないアイリーンではあり、日本語で罵倒されていたとしても理解できないということで、家族もアイリーンも表向きは平穏に見えますが、観ている側はどちらも意思もわかる演出なので、お互いの確執がわかる手法には観ていて興味深さを感じます。

・原作マンガを読んでいないのですが、どうも漫画の描き方とは異なる点もあるようで、漫画とは多少別物と考えるほうが良いです。

・2019年の日本の現実では、海外から日本で生活する外国人が増え、同様の問題も抱えているかと思います。

・そんな社会問題を1995年に漫画として生み出したことでもあり、時代が作品に追いついたからこそ、この時代に映画として再確認できるということは、とても不思議な事ではあります。

・300万円で嫁になったアイリーンですが、実際にはお金のために日本にやってきたということでもあり、そこに愛情は存在しなかったということですが、中盤以降その考えに亀裂が入り始めます。

・岩男が犯してしまった罪、それが引き金で大きく考えが歪み、アイリーンも岩男も救いのない愛憎に陥っていく様は、予想もつかない展開となり、狂気が物語を支配していきます。

・その展開こそが、この映画の真髄でもあり、生半可な愛情物語ではないことに気付かされます。

・圧倒的なインパクトで畳み掛ける展開には、原作とは異なる展開ながらも、幸せや愛情を考えさせられるそんな内容です。

・気を抜いている余裕のない展開の映画ですが、中盤以降の展開はなかなか他の映画では観られない内容でもあり、心して観てほしい映画であります。


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