【日本映画】「三度目の殺人〔2017〕」★★★★☆【感想・レビュー】

【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】裁判に勝つことを目標としている弁護士 重盛と、殺人の前科のある 三隅、その被害者の娘 咲江の物語。殺人事件の弁護を引き受けながらも供述を聞いていくうちに、真実が別にあるのではないか?という疑問にたどり着く。

三度目の殺人

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鑑賞にはかなりしんどい映画ではありますが、緻密さを突き詰めて制作されている良作映画

・是枝裕和監督は、ドキュメンタリー番組を手がけ、「幻の光」で監督デビュー。

・ドキュメンタリーの手法を取り入れつつ、計算され尽くした作品を数多く輩出する卓越した演出力のある監督です。

・主演の福山雅治は、ミュージシャンと俳優の両方で才能を発揮し、「そして、父になる」についで再び是枝映画に出演しています。

・役所広司は、是枝映画に初参加ですが、長年のキャリアもあり、安定した演技で定評があります。

・本作は、是枝監督のオリジナル脚本作品で、殺人の前科のある男が再度事件を起こしてしまったことの真相に迫る作品となっています。

・法廷でのシーンが多く法廷サスペンスという所ですが、実際には事件の真相は二転三転するかの如く、複雑な関係や証言が出てきます。

・多くの伏線が引かれ、その回収は必ずしも行われません。

・その理由は、犯人探しの映画ではないということなのかもしれません。

・三隅は当初死刑が濃厚の状況でしたが、ことの真相を重盛が感じたことで、減刑を主張します。しかし、減刑により他者への疑いも生まれてしまうために、急に三隅は無罪を主張します。

・この辺りの一貫されない言動には、明確な主義があり、ここに隠された真意があります。

・また、要所に出てくる十字架のようなメタファーには、明確な演出意図があり、特に雪山で三人が仰向けに寝ているシーンでは、二人が足を閉じて、十字架(磔刑)を示唆するような演出があります。

・面会のシーンでも、二人の顔がガラスに映り重なったような見え方になりますが、こちらも意図されたメッセージであると思われます。

・最終的には観た人に判断を委ねるような物語となっていますが、明確な回答も用意されているのかと思います。

・観た人のほとんどが結局理解ができなかったという感想を持ってしまう作品ですが、複数回見直すことで、キチンと理由と裏付けは行われています。

・個々の解釈の違いで本筋を見失いがちですが、明確な回答が必ずしも映画としての良作とはならない良い例で、色々な解釈ができる余白があることが重要です。

・題名の「三度目の殺人」ということも三度目とはどの殺人のことなのか?ということも重要な布石となっています。

・是枝裕和映画としてはこのような演出常に仕組まれている要素で、それが世界的にも評価されている点であると思います。

・鑑賞にはかなりしんどい映画ではありますが、緻密さを突き詰めて制作されている良作映画です。

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